「大切なホイールをガリッと傷つけたら・・・」リペアに関する価格や技術を完全解説!

ホイールをガリっとやったら即リペア!

恐らく誰にでも一度は経験があるだろう、クルマを歩道に寄せすぎてホイールを縁石に擦ってしまったことが。リムに付いた傷を目にするたび気分が落ち込むのは精神衛生上よろしくない。だったらプロにお願いして綺麗に直してもらうのが一番だ。

プロショップに見るガリ傷修復の技

今回、ガリ傷の修復をお願いしたのは名古屋市北区に本社を構える“シンボリ”。現社長の祖父がトラック架装メーカーを立ち上げた後、鈑金修理業も始め、先代社長(現会長)が純正でも装着率が高くなってきた状況を見て35年前にアルミホイールの再生・修理業をスタート。

今でこそホイールリペアを謳う業者は増えたが、その草分けと言えるのがシンボリだ。現在も鈑金部門は新堀自動車工業として展開し、かつてはエアウォーカーブランドでエアロパーツやオリジナルホイールの開発、販売も行なっていたと言えば、ピンとくる人もいるだろう。

シンボリの業務内容は傷の修復、曲がりや歪みの修正、特殊塗装を含めたリペイント、純正品を始めとした貴重な当時もののホイールの再生など多岐にわたり、時には他店で行なわれた修理に不備があるアルミホイールが持ち込まれるなど、駆け込み寺的な存在にもなっている。

また、同社の大きな特徴と言えるのが品質保証制度。修理を行ったホイールの情報は全てデータベース化され、何か不具合が起きた場合、すぐに対応できる体制が取られる。

その上で再生・復元を行ったホイールのうち、独自の安全基準を満たしたものには一定期間の保証が付帯。シリアル番号を明記したステッカーが貼られ、データベースにより修理内容が一括管理される。さらに、協力関係にある大手保険会社により再生・復元に起因する万が一の事故を始め、生産物賠償保険(PL保険)にも対応。こういった手厚い保証を行なえるのは、長年アルミホイールの再生や復元を手掛けてきた第一人者としての自信であり、豊富なノウハウと高い技術力を持っている証でもある。

ホイール修復の工賃例。損傷状態によって価格は変動する。
特殊加工の料金形態。ホイールの形状および構造によって価格は変動する。

「会社を始めた頃、アルミホイールは直すのではなく交換するのが当たり前だったから試行錯誤の連続。だって誰もアルミホイールの再生なんてやっとらんかったからね。全て自分で考え、それこそ曲がりを直すのにハンマーで叩くというところから始めて。そこから段々とノウハウを得て、技術力も高まってきたわけ。作業効率を上げるため、必要な機械も自分らで作ったりしてな」とシンボリを創業した竹内俊夫会長。

シンボリ竹内俊太社長

現在は息子の俊太氏が社長に就き、現場での作業を行ないながらシンボリを牽引する。その竹内社長が言う。

「再生や修理の依頼で全国から送られてくるホイールは1日20~30本。その半分くらいがガリ傷の修復ですね。納期は1週間から10日を見てもらってます。また、国内では数少ないと思いますが、マグネシウムホイールの再生や修復にも対応していますよ」とのこと。

アルミホイールで困りごとに遭った時、頼りになる存在。竹内会長が言う、『みんなの味方、シンボリさん』なのだ。

ホイールリペア作業ダイジェスト

1.まずは入念に洗浄

汚れ落としは基本。リムやディスク面はもちろん、内側まで丁寧に洗う。同時に、作業を予定している箇所(今回はアウターリム)以外に不具合がないかも確認する。

2.クリア膜を剥がす

専用機械にホイールをセットして、回転させながらペーパーヤスリでリムを研磨。溶接作業のためクリア膜を剥がすのに合わせて、傷が付いた部分を軽く均す。

3.凹凸部の汚れ落とし

縁石と接触した箇所には水洗いだけでは落とし切れないゴミなどが付着している可能性がある。それらを完全に除去するため、電動ワイヤーブラシで溶接部分をさらう。

4.TIG溶接で肉盛り

トーチと溶接棒を持ち、リムの傷付いた箇所に手際良く肉盛りしていく。かつて試行錯誤する中でリム全体を削って傷を消したこともあったが、強度の低下を防ぐため、この手法を採用することになった。

5.見事な溶接ビード

傷を見極め、熱による変形や歪みを抑えるため、必要最低限の箇所のみに施されたTIG溶接。きっちりとリムの幅に合わせて肉が盛られるなど、まさに職人技だ。

6.専用機械でリムを均す

ホイールを回しながら、肉盛りしていない部分を基準面として徐々に研磨していく。次第に溶接跡が薄くなり、リムが復活してくる様子を目の当たりにするのは感動の一言。

7.仕上げは手作業で

番手を上げながらペーパーヤスリで施工面を均していく。「目視では分からない微妙な段差や歪みを最終的に確認するのは、やはり手の感覚ですね」と竹内社長。液体コンパウンドで磨けば、この作業は完了だ。

8.手際良くマスキング

塗装面を削ってしまったアウターリムの内側を塗り直すためディスク面をマスキング。リム円周に沿ってテープを貼っていくのだが、曲線に合わせて一発で決めるのが見事。

9.色合わせも完璧

同じゴールドでもメーカーや銘柄、経年劣化などにより色合いは様々。それらに合わせて塗料を調合し、吹き付けることで違和感なく仕上げる。竹内会長の言葉にもあったが、修理ではなく再生と表現するのが相応しい。

10.リムが完全復活

塗装後の乾燥を終えて完成。見た目にも手で触れても、修復箇所が全く分からない仕上がりだ。ちなみに、納期の早さや安さを謳う業者の中には、ガリ傷の修復にアルミパテを盛ったり(タイヤ組み付け時に剥がれる可能性大)、全体を削って均したり(強度面で不安が残る)というところもある。ホイール修理は信頼のおけるショップに依頼したい。

●取材協力:シンボリ 愛知県名古屋市北区大我麻町428 TEL:052-911-9422

【関連リンク】
シンボリ
https://shinbori.co.jp

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