「FD3Sに無用なパワーはいらん!」ユーザーのスキルアップを真剣に考えた匠のセットアップ術

完全オリジナル設計の足回りで走りをアシスト!

オーナーのスキルに応じた的確なマシンメイク

歴史に名を残すスポーツカーのFD3Sだからこそ、サーキットを存分に楽しみたい。そんなオーナーから絶大な支持を得ているチューニングショップが、広島県の“ブラストエンジニアリング”だ。

本来はロータリーだけでなく様々なチューニグカーを手掛ける同ショップではあるが、13Bエンジンに対する深い知識とノウハウ、サーキットを楽しむための的確なアドバイスによって、並み居るロータリー専門店と肩を並べるほど多くのファンが訪れる。

そんなブラストの特徴を明確に示しているのが今回の取材車両だ。オーナーは前車をサーキットで全損させてしまい、新たなボディに使えるパーツを移植。エンジンやタービンはノーマルのまま、制御系をパワーFCに変更している程度に留めている。

それというのも、まずはこのスペックを使い切れるまでスキルアップに重点を置いているからに他ならない。実際にハードなチューニングによって扱いきれないパワーを手に入れても、サーキットでタイムを伸ばすことは難しい。そのため、クルマの挙動に慣れることを提案した結果の仕様というわけだ。

もちろ、んサーキットを走るために必要なスペックアップはしっかりと実施されている。ブラストオリジナルの車高調はメーカー品ベースではなく、ダンパーから全て独自の設計で作られた逸品。伸び側のストローク量を確保して、路面追従性を高めているのが大きな特徴だ。スプリングレートのオーダーも可能なため、セッティング次第ではサーキットだけでなくストリートでも快適に乗れる足回りを作ることもできる。

また、FD3Sのサスペンションチューニングで重要なのがトラクションの向上。ダンパーのセッティングだけでなくボディ側もしっかりと補強することで、コーナーでの安定感はさらに高まるそうだ。そのため、ブラストではダンパーの変更に合わせてリヤのタワーブレースバー導入を推奨している。

ブレーキはパッドこそサーキット走行対応モデルに変更しているが、フロントからブレーキ冷却用ダクトを引き込んでいる以外は、純正17インチブレーキ仕様のままだ。過剰なチューニングを提案するのではなく、あくまでもスキルに合わせたクルマ作りが重要なのである。

タイヤもコストパフォーマンスを重視して、17インチのスポーツラジアルでセットアップ。よりパワーを上げてコーナリングスピードが求められるようになるまでは、前後255の組み合わせで問題はない。

クルマの挙動に慣れるためには適正なドライビングポジション作りが重要。そのためシートやステアリング選びのサポートもしっかりと行っている。安全のためには4点式のハーネスも必須アイテム。

「RX-7はノーマルでも速いですし、この仕様なら十分にサーキット走行を楽しめます。運転技術が身についたら次のステップに進むのがタイムアップの基本と言えます」とは、代表の松川さん。

ブラストにとって、チューニングはあくまで乗り手のクルマ遊びをサポートするための手段。過度なパワー増強やスパルタン化はお勧めしないというスタンスだ。これからサーキットを走ってみたいという人や、自分のスキルに合わせたセットアップをじっくり詰めていきたいというオーナーにとっては、実に心強いショップというわけだ。

●取材協力:ブラストエンジニアリング 広島県福山市神辺町川南808-1 TEL:084-960-5441

【関連リンク】
ブラストエンジニアリング
http://www.blast-eng.jp

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