「もうプアマンズBMWとは呼ばせない」510ブルにシルビアのエンジン&サスを移植して戦闘力アップ!

美しく仕上げられたSR20DET搭載のPL510

 17インチのワイドタイヤを軽々と履きこなすゴーイチマル!!

ダットサン510(日本名:ブルーバード)は、“プアマンズBMW”などと皮肉な俗称で呼ばれたりしながらも、高性能で手軽なコンパクトカーとして北米で大ヒットした車両だ。

とくに知られているのが、ピートブロック率いるBREレーシングがトランザムというアメリカのレースシリーズに投入したマシン。2.5L以下のクラスに参戦し、アルファロメオやBMWと死闘を繰り広げ、1971年、1972年と2年連続で選手権を征するなどして多くの伝説を残した。

今なお世界中に多くのマニアが存在するが、大衆車でありながらコレクターの手によって逆輸入された個体が少なくないのもこの車両の特徴と言えるだろう。

そんな稀代の名車をベースに、旧車から外車まで幅広いカスタムを得意とする“コモンスナッパー”が手がけたリアルチューンドが今回の主役。

個性を求めてベース車両は左ハンドル仕様とし、心臓部にはS13シルビアのSR20DETを換装。とはいえ、このスワップは決して一筋縄ではいかなかった。というのも、左ハンドルをベースにしているためステアリングシャフトやブレーキマスターなどがエキゾースト側に集中し、ターボ周辺のレイアウトに自由度が全くないからだ。そのため、換装作業は完全に“知恵の輪状態”だったそう。

エンジン本体はノーマルのまま、トラストのサージタンクやステンレスEXマニでファインチューン。タービンはS14純正としている。

インタークーラーは、エンジンルームにスペースが取れなかったため、SR20DET純正をヘッドライト裏側にレイアウト。少しでも冷却性能を高めるべく、ライトハウジングをダクトに加工してフレッシュエアを取り込む。

エンジンマネージメントには東名パワードがかつて展開していた高性能フルコン、レイテックを採用する。

サスペンションにも徹底的に手が入る。フロントサスはストラットからハブ、ロアアーム、テンションロッドまでS13シルビア用を加工移植。ストラットタワー周辺にはスポット溶接増しも施し、剛性を高めている。ブレーキは前後ともR32スカイライン用だ。

前後にオーバーフェンダーを組み込んだ上で、17インチのSSRプロフェッサーMS1Rをインストール。組み合わせるタイヤは、フロント215/40-17、リヤ245/40-17のポテンザRE-01Rだ。

左ハンドルのインテリアにマッチする追加メーターは、オートメーター製。大型のプロコンプ(タコメーター)に、油温・油圧・水温計が組み込まれ、右下にはセッティングを確認するためのA/F計(イノベート社製)も装備。ミッションはS13の純正5速をフロア加工した上で搭載している。

エクステリアは、テールランプからウインカーに至る全ての灯火類をLED化。細部に渡って現代仕様へとアップデートしているのだ。

すっかり旧車の仲間入りを果たした510ブルだが、あり余るほどのパワーを携え、しかも快適かつ不安なく街乗りもできてしまう。そんな不可能を可能にすることも、チューニングの醍醐味なのだ。

●取材協力:コモンスナッパー TEL:0595-23-9771

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コモンスナッパー
http://www.commonsnapper.com

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