「打倒GT-Rを誓って進化を続けたECR33」超高回転型のエンジンはRB25改2.4L仕様!?

BNR34フェイスとワンオフワイドボディでフル武装

常用1万rpmを可能にするRB25改ショートストローク2.4L仕様

今から遡ること20年以上前。当時、オーナーは夜な夜な大阪環状線や湾岸線へ向かっていたのだが、ミラーに映るのがタイプMだと分かると、GT-R連中に相手にされない悔しさを味わっていた。

「どうすればGT-R連中をその気にさせることができるか?」と悩み続け、試行錯誤の末に辿り着いたのが、当時最新のBNR34フェイスを移植するという奇想天外なアイディアだったのだ。細部を見ていこう。

ボメックス製のフロントバンパーを加工しながらフェイススワップを敢行しつつ、「250キロで自在にスラロームが切れる湾岸仕様」というコンセプトの元、ワイドボディ化も実施。バンパーから繋がるブリスター形状のフロントフェンダーは、強度に拘って鉄板叩き出しで製作したスペシャルだ。

大きく張り出したサイドステップも完全なワンオフ、リヤバンパーはR33とR34の純正を組み合わせたハイブリッドだ。フロントに負けない大ボリュームのリヤフェンダーは、GT選手権用のレースパーツを加工流用している。

速域での安定性を突き詰めて製作されたリヤウイングは、アルティアのダブルウイングをベースにボルテックスのウイングを装備したワンオフ品だ。

低重心化を目指して、エンジンは純正よりも35mm下方にオフセットして搭載していることも特徴だ。

パワーユニットも凄まじい。RB25DETユニットは、コスワースの腰下パーツを使ったショートストロークの2.4L仕様という珍しいもの。高回転型のパワー特性を得るのが狙いで、作用角IN296度、EX306度、リフト量11.2mmというレーシングスペックのハイカムと合わせて、常用1万rpmを可能にしているのだ。

そんな至宝のRB25改2.4LエンジンにT78タービンをドッキングすることで、最大ブースト圧1.8キロ時に最高出力680ps、最大トルク72kgmを手にしている。

ストラットタワー周辺は、リベット打ちで剛性アップが図られている。

なお、正確なエンジン制御を行なうために、T78タービンにはZ32エアフロをツインで装着。大容量ラジエターや3層インタークーラー、16段を2個装着するオイルクーラーなど冷却系チューンも抜かりなしだ。

足回りは、クァンタムのRSタイプ車高調を軸に構築。スプリングはスウィフト製で、フロント18kg/mm、リヤ16kg/mmというハードレートを組み合わせる。アーム類はナギサオートの調整式をフル投入し、超高速域で踏めるセッティングを追求している。

ホイールはSSRのタイプF(FR11J×18)、タイヤにはアドバンA048(F295/30-18 R315/30-18)をセット。ブレーキもフロント6ポッド、リヤ4ポットのエンドレスキャリパーと大径ローターでしっかりと強化済みだ。

無駄な装備は一切なく、走りに集中するための装備を機能的にセットアップされたインテリア。センターコンソールに装着された3×2個の追加メーターは、最小限の視線移動で確認できるレイアウトとなっている。レブリミット1万rpmを示すタコメーターが迫力満点だ。

ちなみに、このマシンは“ガチャピン”と呼ばれるが、それは鮮やかなグリーンのカラーリングが理由ではなく「“ガチャン”と事故っても“ピンピン”しているから」ということで、仲間達が付けたあだ名なのだとか。

「実は最初に作ったR33改34は事故で潰してしまったので、これは2台目なんですよね…」と、オーナーは笑いながら説明してくれた。

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