「現代版TR-XXアバンツァートRが手に入る!?」トコットベースのコンプリートチューンが熱すぎる!

ダイハツ・パラノイアの思いが結実

トコットにコペンのパワーユニットを換装して最強ハッチの完成だ!

コペンのFR&4WDなど、仰天な改造車を製造してきたプロバイルとその代表の竹田さんが今、夢中になっているのが、ダイハツトコットのチューニングだ。

竹田さんがモチーフにしたのは、90年代前半の軽スポーツ全盛期に、アルトワークスやヴィヴィオ、ミニカダンガン相手にガチで最速の座を争ったL500系ミラTR-XXアヴァンツァートR。

「ダイハツの現行車でMTの設定があるのはコペンのみで、アルトワークスのような手軽なスポーツモデルが存在しません。だったら、作ってみようか、と思ったのがきっかけですね。で、どうせなら僕自身が、当時あまりの速さに衝撃を受けたミラTR-XXアヴァンツァートRを再現しようとね」と竹田さん。

製作を開始したのは2019年5月。これまでの経験から「すぐに、問題なくできる」とタカをくくっていたそうだが作業は予想以上に難航。

「どの部品を流用するかについては、過去の経験を生かせました。問題となったのは制御系。エンジンは現行コペン用のKFターボを流用したのですが、トコットよりもエンジン制御系がひと世代古いことがネックになりました」。

トコットの心臓部に収まるKF-VETは64㎰/9.4㎏mを発揮するパワーユニットだ。統合ECUで制御されているため、各機能を正常に動かすためにコペン用ハーネスを総移植して対応。そのためABSなどのユニットもコペン用を流用している。

エンジン本体はコペン用だが、タービン以降の排気系は同じプラットホームを持つハイトワゴンターボ用を移植。過去のカスタマイズの経験から適材適所のパーツ選択。

足回りは可能な限り純正部品を流用するが、車高調はボルドワールドでストリートスペックをワンオフで製作(フロントはキャンバー調整可能)。さらにムーブ用のスタビを追加し、ルックスと操安性を高める。

メーターやステアリングホイール、コラムレバー類も現行コペン用に交換。メーターは小加工で違和感なく取り付けが可能で、新車で設定があったかのような仕上がりだ。

5速MTとセンターコンソールは先代ミラ用。内装色を考慮しセンターコンソールはエッセ用にと変更となる予定。ドライブシャフトは強度の高いコペン用に交換。ファイナルは5.5から4.9とワイドレンジ化している。

イメージカラーであるレッド×ブラックのツートーンカラーはラッピングで再現。ボディサイドのAVANZATORとXXのロゴはカタログからスキャンして製作した。

ホイールはボディカラーに合わせたグラムライツ57 C6タイムアタックエディション。これにポテンザRE004アドレナリン(165/55-14)を組み合わせる。

最初から新車製作販売も計画しており、価格を抑えたい思いから「トコットのハーネスをそのまま使えないか」とトライ&エラーを繰り返し行ったが、思うように事が運ばず、複数台を製作する時の再現性も考えて、最終的には現行コペン用をほぼ総移植することで落ち着いた。

「それでも、ドアの枚数や電動ルーフの有り無しの違いなどの影響やGセンサーの取り付け位置の確認などやるべくことは沢山あり、ひとつひとつ丁寧に見極めました。大事だったのは違和感のなさで、『ダイハツからアヴァンツァ―トRが復刻したら、こんな感じなのでは?』というのが私の目標でした。結果的にはコペンに設定のないスマートアシスト以外の操作系は全て普通に動くようになりましたよ」。

逆に、制御系の総移植はコペン用のチューニングメニューが手を加えることなく流用できるというメリットもあった。ノーマルで終わることなく、手軽にカスタマイズを楽しめる点は喜ばしい限りだ。

現在はコンプリート販売ではなく、受注生産という形でプロジェクトスタート。エンジンもKF型ターボのみで、当初のJB型ターボや1300ccのK3型は適合並びにパーツの供給などの課題から選ぶことができないとのことだ。

気になる価格は車両代別で約100万円~。CVT仕様ならば約50万円~とさらに現実的なラインとなる。これが高いか安いかは個人の判断に委ねるが、希少なダイハツのホットハッチが新車で手に入ると考えれば、ウキウキする人もいることだろう。

●取材協力:プロバイル(RWD laboratory) TEL:0790-83-2238

【関連リンク】
プロバイル
http://www.provile.co.jp/

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