「GR86/BRZの筑波1分切り第1号!」トラストがタイムアタックの聖地で快挙達成

チューニングのポイントは徹底的な軽量化

NOSによる約50馬力のドーピングが効いた!?

タイムアタックシーズンも終盤を迎え、目標達成に向けての各エントラントの戦いは熱い盛り上がりを見せている。

中でも、今もっとも激化しているのが新型GR86&BRZの最速争い。2021年末にHKSが叩き出した筑波1分1秒286(コース2000)をどこが破るかに注目が集まっていたが、トラストがついにやった。2022年2月19日のAttack筑波に向けての前日テストで、59秒911の最速タイムを記録したのだ。

純正ECUの解析が思ように進まない中、最速奪取のためにトラストが選んだチューニングアプローチは徹底的な軽量化。その内容はボディ全体に及ぶもので、ノーマルから約100kg減となる燃料込みの状態での1070kgを実現。

室内は、サーキットスペックらしくアンダーコートまで剥がしたドンガラのワンシーター仕様だ。ドアはパワーウインドウまで撤去し、ガラスもポリカーボネイトの固定式としている。

エンジンルームはエアコンレス化やバッテリーの小型化だけでなく、アルミプーリーでグラム単位で軽量化を追求。走行周回数を考慮し、ラジエターの電動ファンまで撤去しているのだから驚かされる。

ヘッドライト部はスモークカバーのみのダミー仕様。当初はここにドライカーボン製の外板パーツ(ボンネット/ドアパネル/トランク/ルーフ)を導入予定だったが、納期の問題から今回はインストールを見送った。

FA24エンジンは、本体には手を入れず吸排気環境を自社のパーツで最適化。具体的には、排気系はEXマニホールド→オーバーパイプ→パワーエクストリーム3という構成で、吸気系は純正エアクリーナーボックスにダイレクトエアインテークを追加した程度だ。

そしてパワー系の秘密兵器として採用されたのが、スロットル開度に連動させたウエットショット式のNOS。吸排気系パーツとの相乗効果で、噴射時はノーマルから約50psのパワーアップが可能になるそうだ。

足回りの核となる車高調のパフォーマンスダンパーは、市販モデルをベースにスプリングレートを前後12kg/mmに変更。ドライブトレインはOS技研スーパーロックLSDの他、ファイナルを4.8に変更してショートレシオ化を図っている。

ホイール&タイヤは、ボルクレーシングNE24に前後とも265/35R18サイズのアドバンA050(GSコンパウンド)という組み合わせだ。

Attack筑波の本番では59秒6を目標にさらなるタイムアップを目指したが、ベストコンディションとなる早朝の1本目でまさかのコースアウト。修復を施して2本目のアタックに賭けたものの、記録は59秒937で残念ながら更新とはならなかった。

「攻めすぎによるコースアウトは残念ですが、軽量化の効果で加速、減速ともマシンのレスポンスは格段に向上。フレッシュタイヤが1セットだけだったのでタイムは伸ばせませんでした」とは、ドライバーを務めた松井孝允選手。

とはいえ、快速マシンの試金石となる筑波1分切りを最速で達成し、GR86のポテンシャルの高さを証明したこのチューンドの功績は多大だ。今後、本格的なパワーチューニングによってどこまでタイムを伸ばしていくのか楽しみだ。

REPORT:川崎英俊/PHOTO:金子信敏/川崎英俊
取材イベント:Attack筑波2022

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