「これはインプレッサシリーズの問題作だ!」ブサカワ系を極めたカサブランカを再考する【ManiaxCars】

公開日 : 2021/06/05 07:30 最終更新日 : 2021/06/05 07:30

強烈なフロントマスクがレトロ感を放つ

 

GC/GF系インプレッサの異端モデル『カサブランカ』を捕獲!

 

初代BC系レガシィに代わるWRCベース車両として開発されたGC系インプレッサ。主役はあくまでもWRX STI系だが、1.5~1.8Lエンジン搭載の乗用モデルや、リヤハッチゲートを持つGF系スポーツワゴンもラインナップされた。

 

 

その中でも異質極まりないのが、1998年12月に発売された特別仕様車のカサブランカだ。ベースは1.5LのEJ15型エンジンを載せるGF系スポーツワゴンの普及グレードC’z。ミッションは4速ATのみで、駆動方式はFFとフルタイム4WDが用意された。

 

 

 

注目は言うまでもなく外装で、インプレッサの精悍なフロントマスクが一変、クロームメッキで縁取られた丸型2灯ヘッドライトに大型グリル、バンパーモールなどを採用。リヤコンビランプも丸形4灯式に改められ、スバルいわく「エレガントなデザインとスポーツワゴンとしての機能性を両立させた、存在感のある個性的なモデル」だそうだ。

 

たしかに個性的ではあるが、ひと目見た瞬間、多くの人が「このデザインセンスってどうなの?」と思うこと必至。そんな世間一般の認識に対して、スバル的にはすでにヴィヴィオビストロやサンバーディアスクラシックなどの実績があったため、単純にその延長線上にあるモデルという位置付けだったのであろう。細部を見ていく。

 

 

エンジンは吸気ポート形状やバルブタイミングの見直しによって性能向上が図られたボクサーフェイズII仕様のEJ15。ボアストローク比は0.774(85.0φ×65.8mm)で、EJ22やその派生となるEG33の0.773(96.9φ×75.0mm)に匹敵するショートストローク型エンジンだ。

 

 

ブラックを基調として、本革巻きステアリングホイールやセンターパネルにベージュを配した2トーンコーディネイトがカサブランカ専用。オートエアコンやAM/FM電子チューナー付きカセットデッキが標準装備される。

 

 

メーターの文字盤はオフホワイト。スピードメーターを中心に、右側にタコメーター、左側に水温計と燃料計が配置される。

 

 

シートやドアトリムの表皮には肌触りの良いモケットを採用。ともにグレーのストライプがデザインされる。

 

 

後席は前後方向、天地方向ともに余裕あり。背もたれは60:40分割可倒式で、座面を引き上げてのダブルフォールディングによってラゲッジスペースをフラットに拡大できる。また、ヘッドレストは折り畳み式とされ、背もたれを倒す時に引き抜く必要がない設計だ。

 

 

ホイールはミニライト製14インチアルミを標準装備。スバル車ではプレオネスタ、他社ではダイハツミラジーノなどにも設定されていたホイールだ。タイヤは標準175/70サイズのネクストリーを装着。

 

 

実車は見れば見るほど“変”だ。スポーツワゴンそのままのボディに対して、「なんか組み合せを間違っているような…」と思えるほどフロントマスクの主張が強すぎる。クラシックな雰囲気の国産車はたくさんあるが、カサブランカのデザイン的なバランスの悪さは明らかに群を抜いている。

 

そんなエクステリアに対して、走りはインプレッサスポーツワゴンそのもの。ベースは実用グレードなのに、エンジンのフィーリングもハンドリングもなかなかスポーティだ。絶対的な速さを求めなければ不満はない。それより水平対向エンジンらしいスムーズな吹け上がりが気持ち良い。

 

 

ちなみにこのカサブランカ、当初は控えめに受注生産で限定5000台という計画だったが、1998年9月にはカタログモデルとして追加。そう、販売的には意外にも好調だったのである。言い方は悪いが、この変態的ルックスのクルマが売れるのだから、世の中、何があるか分からない。

 

■SPECIFICATIONS

車両型式:GF2
全長×全幅×全高:4365×1690×1415mm
ホイールベース:2520mm
トレッド(F/R):1460/1455mm
車両重量:1200kg
エンジン型式:EJ15
エンジン形式:フラット4SOHC
ボア×ストローク:φ85.0×65.8mm
排気量:1493cc 圧縮比:10.0:1
最高出力:95ps/5200rpm
最大トルク:14.3kgm/3600rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式:FRストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR175/70R14

 

●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)