「これが歴代スカイライン随一の『変異種』だ!」ワンオーナーの5ドアハッチバックターボGT-E・Xは奇跡すぎる【ManiaxCars】

公開日 : 2021/03/14 07:30 最終更新日 : 2021/10/14 14:39

スカイラインラインナップ唯一のハッチバックボディ!

 

直6ターボで重厚な乗り味も大きな魅力

 

6代目R30系スカイラインに用意されたボディバリエーションは4つ。3代目C10系から続く4ドアセダン、2ドアハードトップ、エステート/バンに加え、スカイライン史上初にして唯一の5ドアハッチバックがラインナップされた。

 

当初のグレード展開はCA18S搭載のTI-Lエクストラ、LD28搭載のGT-L、L20E/ET搭載のGT-E・Xだったが、1983年8月のマイナーチェンジでGT-Lがカタログ落ち。後期型はTI-LエクストラとGT-E・Xの2グレードに縮小されることになった。ちなみに、車検証上の車両型式はL20E/ETを搭載する4ドアセダンや2ドアハードトップと同じHR30だけど、日産の社内記号ではセダンがHR30、ハードトップがKHR30、ハッチバックがRHR30となる。

 

取材車両はL20ETを載せる後期型GT-E・Xの5速MT。元々はオーナーの父親が新車で購入し、2年前に譲り受けたもので、当時の“長崎56”ナンバーを付けた実質ワンオーナー車だ。

 

「小さい頃から乗ってたので思い入れも大きいです。途中、車検が切れて5年くらい動かせないことがあったんですけど、ナンバーは切りませんでした」とオーナー。新車時に装着されたシビエ製フォグランプのカバーこそ劣化してしまったが、ボディ塗装やモール類は当時のまま。手入れが行き届き、よほど大事に乗られてきたことが伺える。

 

スカイラインハッチバックターボGT-E X

 

エンジンは1979年、国産初のターボエンジンとして430セドリック/グロリアに搭載されて以降、C210&R30スカイライン、S130フェアレディZ、F30レパード、C31ローレルなどに展開されたL20ET型。エアクリーナーがHKSパワーフローに交換され、点火系ではMDIとウルトラ製シリコンプラグコードが装着される。

 

スカイラインハッチバックターボGT-E X

スカイラインハッチバックターボGT-E X

 

ダッシュボードに対して、メータークラスターとセンタークラスターが独立したデザインを採用。好き嫌いはともかく、個性的なのは間違いない。メーターパネルは前期型からデザインを変更。文字盤が4分割タイプとなり、スピード&タコメーターのスケールが変更され、油圧/水温/燃料/ブースト圧の各メーターも一般的な指針式に改められた。

 

スカイラインハッチバックターボGT-E X

 

横ストライプのデザインで表皮にトリコットが採用されたシート。運転席にはシートリフターや腰の疲れを軽減するランバーサポートが備わる。

 

スカイラインハッチバックターボGT-E X

 

ヘッドレストが一体となったハイバックタイプの後席背もたれは50:50の分割可倒式だ。

 

スカイラインハッチバックターボGT-E X

 

後席背もたれを前倒ししてラゲッジスペースを拡大した状態。リヤサス部の張り出しが大きめだけど、容量的には十分だし、開口部が大きいリヤゲートによって荷物の積み下ろしもしやすそうだ。また、右側のトリム内には国産車初採用となるテンパータイヤを縦置きで収納。エア圧の低下を知らせるセンサーも備わる。

 

スカイラインハッチバックターボGT-E X

 

ホイールは15インチのワークエクイップ40。フェンダー加工無しでフロント8.5J、リヤ9.5Jを綺麗に収める。タイヤはフロント175/55、リヤ185/55サイズのネクストリーだが「外径が小さいので交換する予定です」とオーナー。

 

スカイラインハッチバックターボGT-E X

 

足回りはフロントにシルクロード、リヤにJICの全長調整式車高調をセット。バネレートは順に10kg/mm、8kg/mmとなる。また、ブレーキラインやスタビ&テンションロッドブッシュなどもリフレッシュを兼ねて交換される。

 

スカイラインハッチバックターボGT-E X

 

試乗させてもらったところ、1240kgの車重に対して、145ps/31.0kgmというL20ET型のスペックは必要にして十分。初期のターボエンジンらしく圧縮比が7.6と低いから、NA領域のレスポンスにはあまり期待できないが、トルク感に不満はない。

 

ターボが稼働し始めるのは2500rpm辺りからで、耳に届く金属的な音でそれが分かる。そのままアクセルペダルを踏み込んでくと、3000rpmを境に本格的な過給がスタート。急激にパワーが立ち上がるドッカンなエンジン特性を想像していたが、ノーマルだと最大ブースト圧もせいぜい0.3~0.4キロくらいだろうから意外にもマイルドだった。吹け上がりは直6らしくスムーズ。同じボア、ストロークを持つ後継エンジンのRB20E/ET型よりも重厚な回り方でフィーリングは悪くない。

 

はたして、セダンとハードトップだけでも十分に販売台数を稼げただろうR30に、国内では不人気車のレッテルを貼られる5ドアハッチバックを設定する必然性があったのか? 今となっては日産社内でどんな議論が繰り広げられたのかを知るすべもないが、その経緯はともかく、晴れて発売してくれたおかげでManiaxCars的に絶好のネタとなり、世の変態グルマ好きが喜んでいることは紛れもない事実だ。

 

■SPECIFICATIONS

車両型式:HR30
全長×全幅×全高:4620×1675×1385mm
ホイールベース:2615mm

トレッド(F/R):1410/1400mm
車両重量:1240kg
エンジン型式:L20ET
エンジン形式:直6SOHCターボ
ボア×ストローク:φ78.0×69.7mm
排気量:1998cc 圧縮比:7.6:1
最高出力:145ps/5600rpm
最大トルク:21.0kgm/3200rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ:FRディスク
タイヤサイズ:FR185/70R14

 

●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)