「水平対向6気筒を6速MTで操る優越感」ワゴン界の異端児『レガシィツーリングワゴン3.0RスペックB』の魔力【ManiaxCars】

公開日 : 2021/03/01 06:30 最終更新日 : 2021/03/02 11:33


EJやFA/FBエンジンとは明らかに異なるスムーズの吹け上がり!

 

こんなに贅沢なツーリングワゴンは他にはない

 

全幅拡大により歴代初の3ナンバーボディが与えられたBL/BP系レガシィ。発売は2003年5月で同年9月に3.0Lフラット6のEZ30型(250ps/31.0kgm)を搭載する3.0Rが登場し、翌2004年10月に専用セッティングが施されたビルシュタイン製ダンパーや18インチホイールなどを標準装備する3.0RスペックBが追加された。車両型式はB4がBLE、ツーリングワゴンがBPEだ。

 

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

 

エンジンは先代B4 RS30(BEE型)、あるいはツーリングワゴンGT30やランカスター6(BHE型)に搭載されたものと基本的に同じEZ30だが、BL/BP系では吸気側カムに可変バルタイ(AVCS)&リフト機構を採用。それの結果、パワーは220psから250psに、トルクも29.5kgmから31.0kgmに向上した。さらに4速ATのみの設定だったBEE/BHEに対して、3.0RスペックBは当初6速MTのみというのが大きな違いだった。

 

その後、アプライドCに進化した2005年5月の年次改良で5速ATが追加され、その1年後、後期型に切り替わったアプライドDでSI-DRIVEを採用。しかし、2007年5月以降のアプライドEをもって6速MTがカタログから落ち(3.0RスペックB廃止)、5速ATに一本化された。つまり6速MTで乗れるEZ30はアプライドB~Dにしか存在しないわけで、取材車両はSI-DRIVEを持たない前期型3.0RスペックBとなる。

 

「新車時に欲しかったんですけど、結婚したばかりだったので当時は買えなかったんです。それが2014年に中古車で見つけ、今乗らないともうチャンスがないかもと思い、奥さんを説得して購入しました」とオーナー。

 

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

 

まずは内装から見ていく。3ナンバー化に伴い、素材やデザインなどによって上質感をプラス。3.0RスペックBはMOMO製の本革巻きステアリングホイールが標準装備となる。メーターはイグニッションオンで文字盤と針が浮かび上がり、昼夜を問わず視認性に優れるエレクトロルミネセントメーターを採用。

 

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

 

オーディオは純正マッキントッシュ。MDプレイヤーを内蔵したヘッドユニットはDIN規格ではない異形サイズで、別体式アンプで13スピーカーを鳴らす。その下はオートエアコンの操作パネルだ。

 

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

 

手応えあるシフトタッチの6速MT。ギヤ比は1速から3.636、2.375、1.761、1.346、0.971、0.756で、ファイナル比は3.900となる。アプライドDではシフトレバー後方にSI-DRIVEのダイヤル式スイッチが追加される。

 

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

 

オプション設定の本革シート。5速AT車ならともかく、6速MT車との組み合わせは珍しい。運転席パワーシートは標準だ。

 

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

 

後席には3名分のヘッドレストが備わり、60:40分割で背もたれの前倒しが可能。車内側への張り出しが少ないマルチリンク式リヤサスによってラゲッジスペースを有効に活用できる。

 

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

 

車内に開放感を与える大型サンルーフ。これもオプション設定で、二分割された前方がチルトアップ、後方がスライドして大きな開口部を誇る。「ただ、故障してるので開けられないんですよ」とオーナー。BP系ではよくあるトラブルらしい。

 

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

 

7本スポークタイプのアルミホイールは標準装着される純正18インチ。組み合わされるタイヤは、純正と同じ215/45サイズのDNA Sドライブだ。

 

レガシィ ツーリングワゴン 3.0R スペックB

 

それではお待ちかねの試乗タイムだ。同じ6気筒で比べたらV6は言うまでもなく、回転バランスに優れる直6のさらに三歩くらい先を行ってるのがフラット6だ。カタログスペックで上回る4発2.0Lターボには目もくれず、6発3.0L・NAを狙い撃ちしたオーナーの気持ちがよく分かる。そんなEZ30を6速MTで楽しめるなんて贅沢だ。

 

アクセルペダル操作に対するエンジンレスポンスは良いし、4000rpmからレッドゾーンが始まる7000rpmまでのフィーリングはまさにスポーティユニットのそれ。精緻に組まれたNAらしく、どこまでも上質感を失うことなく、タコメーターの針の上昇に合わせてリニアにパワーを高めていく。

 

フラット6に6速MTが組み合わされ、フルタイム4WDで駆動するステーションワゴンは後にも先にも先にもBPEだけ。しかも、ホイールまで純正のフルノーマル車となればさらに希少だ。

 

オーナーいわく「前のオーナーが大事に乗ってくれてたおかげで、今こうして自分が乗っていられるんですよね。だから、前のオーナーには本当に感謝してます」とのこと。「乗るのは2年だけだから」と奥さんを説得して手に入れたが、気が付けば車検を受けること3回。オーナーにとって、BPEがいかに魅力的で、唯一無二の存在であるかを示すエピソードだ。

 

■SPECIFICATIONS

車両型式:BPE
全長×全幅×全高:4680×1730×1475mm
ホイールベース:2670mm
トレッド(F/R):1495/1485mm
車両重量:1500kg
エンジン型式:EZ30
エンジン形式:フラット6DOHC
ボア×ストローク:89.2φ×80.0mm
排気量:2999cc 圧縮比:10.7:1
最高出力:250ps/6600rpm
最大トルク:31.0kgm/4200rpm
トランスミッション:6速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/マルチリンク
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR215/45R18

 

●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)