「1トン切りボディに140馬力は伊達じゃない!」希少な純正フルオプ仕様のYRVターボX・Rパックに乗った【ManiaxCars】

公開日 : 2020/12/16 11:00 最終更新日 : 2020/12/16 11:00

グレードはターボXなのにステッカーはターボR!?

 

ウザいくらいにカーボン調パーツを多用した内外装も注目だ!

 

スターレットターボの生産終了後、競技ベース車両…つまりはストーリアX4を除き、20世紀~21世紀をまたいで、コンパクトクラスで唯一のターボモデルとして存在していたYRVターボ。

 

 

背高系ボディから、動力性能に多少の余裕を持たせた実用系コンパクトワゴンに思えるかもしれないが、いやいやどうして、あらゆる意味で危うさを感じるくらい走ってくれるのだからたまらない。1.3Lターボで140psは伊達じゃないのだ。

 

 

注目は何と言ってもエンジンで、ボア径φ72.0×ストローク量79.7mmのロングストローク型で1297ccの排気量を稼ぐK3-VET。シリンダーブロックは鋳鉄製で、ヘッドには可変バルタイ機構DVVTが備わり、低中速域のトルクと高速域のパワーを両立する。ちなみに、このK3-VETをベースに、ストローク量を57.5mmまでショート化して排気量を936ccとしたのが、ブーンX4に搭載されるKJ-VETだ。

 

しかも、レギュラーガソリン仕様というのが変態グルマ好きにはまず見逃せないポイントだったりするわけで、チューニング的な観点からすると、ECUマップをハイオク仕様に書き替えるだけで大幅なパワー&トルクアップが約束されているようなものだ。

 

 

タービンはIHI製RHF4。最大ブースト圧は0.8キロに設定される。3500rpmあたりから2次曲線的にパワーを高める、いかにもターボ車らしいフィーリングを楽しませてくれる。

 

 

そんなクラス最強のエンジンに組み合わされるのは4速ATのみ。「えっ!?」と思うかもしれないが、当時ダイハツにはK3-VETのパワー&トルクを許容できるMTがなかったから…というのがもっぱらの噂で、ステアリングスイッチで操作するマニュアルモード付きとは言ってもATだけというのは少し寂しいところだ。

 

 

そんなYRVターボは、2001年12月にマイナーチェンジを慣行。これにより、普及グレードの『ターボG』と、スポーティな『ターボR』、インパネシフトを採用した『パルコターボ』の3本立てとなった。が、その1年後、2002年12月の一部改良で『ターボX』に一本化。オプションで、スポーツマフラーやホワイトメーター、本革巻きステアリング&ATセレクターノブなどスポーティな専用装備を持つ『Rパック』が用意され、それが今回の取材車両になる。

 

 

とにもかくにも、YRVターボはグレード名の変遷がややこしい。しかも、取材車両はターボX・Rパックなのに、ボディサイドのステッカーはターボRのままという節操のなさで、そのへんがややこしさに輪をかけていたりする。

 

 

ターボX・RパックはFFで標準ルーフの最軽量バージョン。車重はたったの950kgだ。これがパノラマルーフになると10kg増の960kg、4WDはFFに対して50kg増えるから標準ルーフで1トンジャスト、さらにパノラマルーフを選ぶと1010kgと、4WD+パノラマルーフだけ重量税の区分が1ランク上がって、税金面で損することになるわけだ。

 

 

エクステリアは、ボンネットインテークダクトやドアミラーカバー、アウタードアノブもカーボン調で、メッキグリルとリヤガラス下部YRVロゴ入りデカールまで装着されるなど、純正オプション品がてんこ盛りの状態。

 

 

それに対応するかのように、インテリアでもメータークラスター、ダッシュボード&ドアトリムの一部、パワーウインドウスイッチ部にカーボン調パネルが配される。ここまでくると、スポーティを通り越して「くどすぎる!」と思ってしまうほどだ。ホワイトメーターはターボモデル専用品で、220km/hまで刻まれたスピードメーターが高性能ぶりをアピール。

 

 

フロントシートはフロアに対して座面が高く、スポーティというより実用的なドライビングポジション。そのおかげで前方視界は非常に良い。サイドサポートの張り出しが大きめだから、ホールド性も良好だ。

 

 

150mmの前後スライドと50:50分割で9段階のリクライニングが可能なリヤシート。座面がフロントシートよりも75mm高く設定されたスタジアムレイアウトを採用する。これまた見晴らしが良い。

 

 

リヤシート座面は脱着式。ダブルフォールディングの際に2ヵ所のレバーロックを解除することで取り外し、背もたれを落とし込む。もっとシンプルな構造にできたはずなのに、必要以上に凝ってるのが変態ポイントだ。

 

 

走りはじめてまず感じるのは2000rpm前後の豊かなトルク感で、とても排気量1.3Lとは思えないほど。これなら街中を流しててもカッタるい思いをしなくて済むし、アクセルひと踏みでスーッと加速していってくれる。少なくとも、小排気量車にありがちな、走らないからアクセルをついつい踏んでしまって燃費が思うように伸びない…なんて悪循環に陥ることはなさそう。

 

ただ、それはK3-VETにとって仮の姿であって、本来のパフォーマンスを見せるのは3500rpmを超えてから。ターボエンジンらしくパワーとエンジン回転の上昇に弾みをつけて、4000…5000…6000rpmと大きな盛り上がりを感じさせてくれる。

 

 

純正オプションのデフィ製ブースト計によると最大ブースト圧は0.8キロ。たった950kgの車重に140psのパワーは十分で、速さは想像以上だ。

 

それと、真っ直ぐな道で踏んでいる分にはほとんど感じないが、少しでもステアリングを切った状態でうかつにパワーバンドに入れてしまおうものなら、ハッキリとトルクステアが顔を出す。FFターボだからある程度は仕方ないかもしれないが、良くしつけられたクルマばかりになってしまった今、これもYRVターボの魅力であるし、面白さでもあると思う。

 

 

そういえば80年代のFFターボ車、シティターボやスターレットターボ、マーチターボ&スーパーターボなどは、速いけれど荒削りな感じがあった。YRVターボには、そんな熱いコンパクトハッチと同じ雰囲気が漂っているのだ。

 

YRVターボX・Rパック

車両型式:M201G
全長×全幅×全高:3765×1625×1535mm
ホイールベース:2370mm
トレッド(F/R):1380/1365mm
車両重量:950kg
エンジン型式:K3-VET
エンジン形式:直4DOHC+ターボ
ボア×ストローク:φ72.0×79.7mm
排気量:1297cc 圧縮比:8.5:1
最高出力:140ps/6400rpm
最大トルク:18.0kgm/3200rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ(FR):175/55-15
 
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)