「430セドリックしか愛せない男!?」低く構えた最終型ターボブロアムの勇姿【ManiaxCars】

公開日 : 2020/11/01 07:30 最終更新日 : 2020/11/01 07:30


国産初のターボエンジンを搭載した高級セダンに昂る

 

20年ぶりに戻ってきた京都2ケタナンバー

 

1979年6月に登場。同年10月、国産初のターボエンジンL20ET型と、これまた国産乗用車初となる直6ディーエルエンジンLD28型を搭載したことで知られるのが5代目セドリック、430型だ。

 

ECCS(エンジン電子集中制御システム)を採用したL20ET型エンジン。国産メーカーが排ガス規制の対策に追われた1970年代後半、ターボエンジンは高性能と低燃費を両立する切り札として登場した。国産ターボ車の歴史はここに始まったのだ。

 

ボディバリエーションはセンターピラーレスの4ドアハードトップ、オーソドックスな4ドアセダン、荷室に3列目シートが格納されたワゴン、商用バンの4つで展開。2.8L直6SOHCのL28E型(145→155ps)と、2.0L直6SOHCターボのL20ET型(145ps)を搭載する4ドアハードトップとセダンが主力モデルだったのは言うまでもない。

 

 

そんな430セドリック最終型ターボブロアムに乗る大岸さん。これまで1980年式ターボブロアム、1981年式グロリアターボSGL-Fジャック・ニクラスバージョン、1981年式SGLと4ドアハードトップモデルを乗り継ぎ、これが4台目となる。ちなみに430のATは当初3速で、1982年6月登場の最終型で初めて4速ATを採用。電子制御オーバードライブ付きフルロックアップATは世界初だった。

 

 

「日産党だったことに加え、スタイリングが気に入ったんですよ、430の。白ボディの内装色は圧倒的にブラウンが多いんですけど、これは珍しいブルーだったんでぜひ乗りたいなと思い、廃車になりそうだったのを引き上げてきたんです」と大岸さん。まだ2ケタで希望ナンバー制度がなかった時代、“430”を取るために陸事で並んだということからも、大岸さんの430愛が分かるというものだ。

 

 

そんな思い入れたっぷりの最終型430だったが、ブルー内装を欲しがっていた東北のマニアに譲ったのが20年前。雨風にさらされないよう屋根付き駐車場に保管し、サビの原因となる融雪剤の影響を避けるため冬場は乗らないなど大切に扱われてきたという。

 

その個体が数ヵ月前、大岸さんの手元に戻ってきた。その間、貴重な京都2ケタナンバーが切られることはなく、走行距離もたったの9000kmを上乗せしただけ。

 

目の前にたたずむ最終型430は、生産からまもなく40年が経とうとすることなどまるで感じさせない極上のコンディションを維持していた。年式相応の“味”こそにじみ出ているけど、出で立ちがシャンとしてて、内装にも外装にもいわゆるヤレ感が全くないことに驚く。

 

 

ダッシュボードやセンターコンソールにはウッドパネルがあしらわれ、高級感を演出。パーソナル製ステアリングホイールに合わせてATセレクターノブもウッドタイプに交換される。メーターパネルにはスピードメーターとタコメーターを中心に、右側に電圧計と燃料計、左側に油圧計と水温計が並ぶ。

 

 

フェンダーミラーが似合う直線基調のスタイリングに加え、小ぶりなリヤクォーターウインドウやサイドまで回り込んだリヤウインドウ、尻下がりのトランクパネルなどデザイン面での見どころが多い。ホイールは当時モノのボルクメッシュ14インチで、195/60サイズのグランプリM7Rが組み合わされる。

 

 

各種警告灯をはじめ、スポットランプやファンシーランプなどが組み込まれたオーバーヘッドコンソール。1970年代の国産車によく見られたアイテムで、4ドアハードトップSGL-E以上のグレードに標準装備された。うっすらと点灯するファンシーランプが分かるだろうか。

 

 

大岸さんいわく「2.8Lモデル用のビッグバンパーに交換されていたので、売った価格に多少色を付けて買い戻しました。このバンパー、中古品でも前後セットで60万円くらいするんですよ。あと、当時オプションだったドライブコンピューターも追加されてました。前のオーナーさんがどこかで探してきて付けたんでしょうね」。

 

 

ちなみに、ドライブコンピューターとは時間と距離(車速)の組み合わせから生まれる各種データをコンピューターが読み取り、ドライバーに情報として提供するシステム。ナビゲーションが当たり前の今からすればオモチャのような装備だが、当時はこれが最先端だった。

 

 

日本初や世界初など革新的なメカニズムを盛り込みつつ、基本的な立ち位置はあくまでも『日本の市場を見据えた、日本人のための高級車』。それはグローバル化という大義名分のもと、海外市場に重きを置いて設計、生産される今時の高級車とは非なるものだ。

 

40年前のクルマだから懐かしいとか、そんな単純な話ではない。80年代の国産車には日本人の心の琴線に触れる何かがある。朝の澄んだ空気の中、京都の旧い街並みにしっくり溶け込んだ430を見て、そんなことを考えた。

 

■SPECIFICATIONS
車両型式:430
全長×全幅×全高:4690×1690×1410mm
ホイールベース:2690mm トレッド(F/R):1415/1380mm
車両重量:1485kg
エンジン型式:L20ET
エンジン形式:直6SOHC+ターボチャージャー
ボア×ストローク:φ78.0×69.7mm
排気量:1998cc 圧縮比:7.6:1
最高出力:145ps/5600rpm
最大トルク:21.0kgm/3200rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ダブルウィッシュボーン/5リンクリジッド
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR185SR14

 

TEXT&PHOTO:廣嶋KEN太郎/OWNER:大岸陽一
Special Thanks:中西正喜/HGN No.0038