「580kgという車重が超魅力的!」550cc時代のホンダトゥデイ最廉価グレードを捕獲!【ManiaxCars】

公開日 : 2020/10/29 11:00 最終更新日 : 2020/10/29 11:00


現代の規格ではありえない超ミニマムサイズ!

 

Ri-ZやRiではなくあえての最廉価グレードFの詳細をチェック

 

4ナンバーの軽ボンネットバンとして1985年9月に発売されたトゥデイは、当初アクティ譲りの550cc直列2気筒EH型エンジンを搭載。

 

1988年2月のマイナーチェンジで直3のE05N型に切り替えられ、同時にヘッドライトも丸形2灯式から角型異形2灯式に改められることでフロントマスクの印象が大きく変わった。さらに1990年2月、軽自動車の規格が変更。660cc直3のE07A型が搭載され、全長も100mm延長されることになった。

 

 

トゥデイの特徴は、まずスタイリング。当時の軽ボンバンといえば、スズキアルト、ダイハツミラ、ミツビシミニカ、スバルレックスという顔ぶれだったが、その中でもトゥデイは全高がぶっちぎりで低かっただけでなく、ホイールベースも極端に長かった。

 

各モデルの数値は表にまとめてみたので、それを見てもらうとトゥデイの特異性が分かると思う。そんな独特なディメンションに加え、フロントウインドウが大きく寝かされてたこともあって、低く伸びやかなフォルムがトゥデイの個性になっていたわけだ。

 

 

取材車両は、角型異形2灯ヘッドライトでE05A型を載せた中期型。クルマ好きならPGM-Fi仕様のエンジンに5速MTが組み合わされ、タコメーターを標準装備したスポーツグレードのRi-ZやRiを真っ先に思い浮かべるのだろうが、それではあまりにも当たり前すぎて面白くない。そこで発掘したのが最底辺グレードのFというわけ。

 

E05A型エンジンは、SOHCながら吸気2、排気2の4バルブヘッドを持つ。燃焼効率を高めるため、燃焼室はペントルーフ型とされスパークプラグもセンター配置となる。廉価グレードFは燃料供給がキャブレターだが、上級グレードは電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)、中間グレードは電子制御キャブレター(PGM-CARB.)が採用される。

 

 

前後バンパーが樹脂色そのままの黒というのは一つ上のグレードMと同じだけど、ボディカラーが5色用意されていたMに対してFは赤と白の二者択一という潔さ。また、それで車両本体価格をいくら抑えられるのか分からないが、ボディサイドの車名ステッカーも省略されている。

 

 

前後バンパーやドアノブと同じく、黒い樹脂色のままとされたドアミラー。当然ながら電動機能などは装備されず、ミラー面の角度調整も格納も手動式となる。というか、全幅が狭いためにミラーをたたむ必要がないかもしれない。

 

 

さらに、表皮素材を塩ビとしたシートやリヤデフォッガーレスなど、コストダウンの徹底ぶりには目を見張るものがある。ちなみに、Fに用意されたミッションは4速MTと3速MTだ。ダッシュボードは、フロントウインドウまでの奥行きが取られ、この時代のホンダ車らしく低くセットされている。フロアからダイレクトに突き出したシフトレバーが男らしい。

 

運転席に収まってまず感じたのは全幅の狭さ。数値上は現行の軽カーに対してマイナス80mmだが、感覚的にはそれ以上コンパクトな印象を受ける。上半身をちょっと左に傾けて手を伸ばせば、余裕で助手席側ウインドウレギュレーターに手が届くから、これならパワーウインドウいらずだ。

 

 

メーターパネルもシンプル。タコメーターレスで、スピードメーターの内側に1~3速の守備範囲が目安として記される。

 

 

グレードに関わらずヒーターが標準装備でエアコンはオプション設定。廉価グレードFはオーディオレスが標準だが、純正オプションのデジタル時計付きAM電子チューナーが装着されていた。スピーカー一体型というのが渋すぎる。

 

 

ワンアームタイプのヘッドレストを持った前席は中間グレード以下に採用。ガムテープでの補修は、素材が塩化ビニルだからこそ為せる技だ。

 

 

後席のスペースはミニマム。背もたれも起きているから長時間の乗車は辛そうだ。

 

 

開口部が大きいリヤゲート。一体型の後席背もたれを前倒しするとラゲッジスペースを拡大できる。フロアはフラットでホイールハウスの張り出しも小さいから、積載性能は意外なほど高い。

 

 

36ps/4.5kgmというエンジンスペックが何とも心許なかったが、予想してたほどの非力感はナシ。車重がたった580kgしかないこともあって、むしろゼロ発進から軽快に加速してくれるし、低い重心と長いホイールベースによって軽カーとは思えない安定感も見せる。こりゃデビュー当時、相当に画期的なモデルだったに違いない。

 

軽ボンバンなのに、単なる商用車ではなく実は走りも楽しい。試乗したトゥデイから伝わってきたのは、今時のホンダ車には望めそうもない“遊び心”だった。

 

■SPECIFICATIONS
車両型式:JW2
全長×全幅×全高:3195×1395×1320mm
ホイールベース:2330mm
トレッド(F/R):1225/1230mm
車両重量:580kg
エンジン型式:E05A
エンジン形式:直3SOHC
ボア×ストローク:62.5φ×59.5mm
排気量:547cc 圧縮比:9.8:1
最高出力:36ps/6500rpm
最大トルク:4.5kgm/5200rpm
トランスミッション:4速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR135SR12

 

●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)