「FRポルシェに魅了された男の愛機」徹底したサスチューンで旋回性能に磨きをかける!

公開日 : 2020/09/20 15:00 最終更新日 : 2020/09/20 15:00


緻密なサスセッティングでFRポルシェのネガを消す

 

リヤサスから攻めてトラクション性能を確保

 

ポルシェ944を8年間ほど所有した後、この968へと乗り替えたというオーナーはFRポルシェの魅力に取り憑かれた一人。普段は街乗りに使いながら、ひと月に2~3回、富士スピードウェイや袖ヶ浦フォレストでのサーキット走行を楽しんでいたが、ファイナルオーバーステア傾向が強いことに頭を悩ませていた。

 

 

そこで、ベースMのドライビングレッスンを通じて知り合った間野さんに、足回りのセッティングを依頼することに。

 

「トランスアクスル方式を採用してるから、前後重量配分がリヤエンジンの911よりも良いのは明らか。ハンドリングも基本的にはナチュラル。そこでファイナルオーバーステア傾向を消すには、まずトラクション性能を高めることが重要と考え、リヤサスのセットアップからはじめました」と間野さん。

 

 

968のノーマルのリヤサスはスペース的な制約からか、スプリングにトーションバーが使われている。これがスタビライザー的に動いてコーナリング中にインリフトを誘発→唐突なオーバーステアを招いてしまうため、コニレーシングをベースに、ノーマルのトーションバー式スプリングを取り払ってコイルオーバー化。スプリングはアイバッハ20kg/mm+ヘルパー1.5kg/mmという組み合わせだ。

 

 

すると、今度はリヤのグリップ力が高まってアンダーステアが強くなるため、リヤに合わせてフロントサスもYZ(ワイズ)のカートリッジ式AE92ショートストロークダンパーにネジを被せたロワシート調整式車高調をセット。スプリングは内径70φのテイン16kg/mmをメインに、1.5kg/mmのヘルパーを組み合わせたツインスプリング仕様となる。

 

 

一方のエンジンは、φ104×88mmというボア×ストロークから排気量2990ccを稼ぐ直4DOHCで、240ps/6200rpm、31.0kgm/4100rpmを発揮。基本設計は先代の944S2と変わらないが、可変吸気システム“ヴァリオカム”を採用しているのがトピックだ。

 

 

エンジン関係で変更されたパーツはマフラーのみ。ワンオフ品で、排気効率の向上とスポーティなエキゾーストサウンドを両立している。

 

 

インテリアは基本的にノーマル。サーキット走行を楽しんでいるオーナーは「このポジションがしっくりくる」ということで、ステアリングがOMPディープコーンタイプに交換されているくらいだ。

 

 

968CSはリヤシートを廃した2シーターモデルでフルバケットシートを標準装備。ポジションもホールド性もスポーツ走行に適したものとなっている。また、シートバックもボディ同色にペイントされる。

 

 

フロントマスクがなんか違う…と思って話を聞いたら、サーキットでのクラッシュ→修理に合わせて、ヘッドライトをノーマルのポップアップ式から993の固定式に変更したとのこと。実は、ウインカーユニットも993用に交換されている。「968の純正ウインカーは新品で3万円もするので、中古の993用を1万2000円で買って取りつけました」とオーナー。

 

 

ホイールは993GT2用のBBS製マグネシウム鍛造品。フロント8.5Jオフセット+50(10mmスペーサー)、リヤ10Jオフセット+30で、順に255/35-18、265/35-18サイズのポテンザRE-11がセットされる。間野さんいわく「フロント255幅なら9.5Jを入れて、接地面積を稼ぎたいですね」とのこと。

 

 

ブリスターフェンダーいっぱいに張り出しつつ、タイヤとフェンダーが微妙に被る車高を実現。よく動く足であることは当然、見た目にカッコ良い車高にセットアップするのも間野さんの譲れないポイントだ。

 

 

リヤウイングは角度調整式に変更。また、前後のネガティブキャンバー角は、フロントが調整式アッパーマウントで3度、リヤがトレーリングアームに対するナックルの取り付け位置を変えることで2.5度にセットされている。

 

「国産FR車で前後重量バランスが良いっていうと、まず出てくるのがS2000。たしかに静止状態だと前後50:50で理想的ですけど、ガソリンを入れてドライバーが乗って、実際に走らせてみると実はリヤ荷重が大きかったりするんですよ。それよりも968の方が明らかにバランスは良いですね」と間野さん。

 

 

911の陰に隠れがちなFRポルシェだが、その集大成とも言える968の素性はもっと高く評価されるべき。そこに気づいたオーナー&チューナーの手によって、968は生まれ持った優れたコーナリング性能に、一層の磨きがかけられるわけだ。(ベースMは現在閉店しています。)