「生産期間はわずか1年2ヶ月!」シティターボのワンオーナー極上車に乗った!【ManiaxCars】

公開日 : 2020/08/22 16:00 最終更新日 : 2020/08/23 12:15


ターボIIブルドッグなど足元にも及ばない希少性

 

ボディソニックまで装備したワンオーナーの極上車!

 

当時としては画期的で、それ以上に異質だった背高スタイルから“トールボーイ”と呼ばれた初代AA型シティは1981年11月に登場。それに遅れること10ヵ月、翌年9月に追加されたのがホンダ初の4輪市販車ターボモデルとなるシティターボだ。

 

 

今やシティターボは超貴重だ。発売翌年にターボIIブルドッグが登場したことで、わずか1年2ヵ月しか生産されなかったのだから。

 

確かに変態度だけで言えば、自動切換え副変速機付きのハイパーシフトや、ハイルーフ仕様のマンハッタンルーフには敵わない。しかし、取材車両は品川53ナンバーの新車ワンオーナーでフルオリジナル、純正オプションのボディソニックやサンルーフまで装備しているのだから、誰が文句などつけようか。

 

 

そんなシティターボのエンジンは、燃焼効率に優れるコンバックスエンジンをベースに、さらなる高効率化を図ったER型ターボ。PGM-FIが採用された初めてのエンジンだ。

 

NA版はレギュラーガソリン仕様で世界初の圧縮比10.0:1を実現したが、ターボ化に伴って7.5:1へと下げられている。インタークーラーレスで最大ブースト圧は0.75キロ。当時の国産ターボエンジンとしては極めて高過給だった。過給機による性能アップは凄まじく、パワーは67→100ps、トルクは10.0→15.0kgmと、どちらも50%もの向上を果たしている。

 

 

外装ではボンネット上のパワーバルジとTURBOのロゴ入りフロントグリル、前後バンパーとサイドモールをグルッと囲うように入れられた赤いラインがターボの証。それと長いステーのフェンダーミラーも、「やっぱ初代シティはコレだよな」と思うポイントだ。

 

ホイールは純正オプションの12インチアルミ。そこに標準サイズ165/70のグッドイヤーGT070が組み合わされる。また、前後スタビライザーや、フロントベンチレーテッドディスクブレーキなどの装備もターボ専用だ。

 

 

運転席に座ると、広いガラスエリアと細いピラーによって開放感が抜群。フロントノーズは非常に短く、1.6mに満たない全幅を含めてボディがもう絶対的にコンパクト。最小回転半径もわずか4.5mに抑えられているのだ。

 

2段構造のダッシュボードは下段全体を収納スペースとしたユーティリティ重視の設計。メーターは、アナログ式タコメーターの内側にデジタル式スピードメーターが備わり、左下にはバーグラフ式ブースト計が設けられる。

 

 

純正のパイオニア製AM/FM電子チューナー付きカセットデッキが残ってることに驚く。フタ付き小物入れの下がシートに内蔵されたボディソニック用のアンプで、運転席、助手席ともにボリュームダイヤルで効き具合を調整できる。

 

 

ダッシュボード助手席側上面にはクーラーボックスを装備。エアコンの冷気を導入して缶ジュースなどを冷やすことができる。

 

 

前席は大きく張り出したサイドサポートを持つ、“TURBO”のロゴ入り専用シート。ウーファーを内蔵したボディソニック仕様で、ラジオやカセットテープの音源に合わせて身体に響く振動が面白い。

 

 

後席は背もたれが低いが、大人2人が乗るには十分なスペースが与えられ、余裕の室内高と広いガラスエリアによって解放感も抜群だ。

 

 

3.4mに満たない全長で実用的な容量が確保されたラゲッジスペース。さらに、後席の背もたれを前に倒し、座面と一体で前方に跳ね上げることで拡大もできる。フロアに確認できるベルトは、取り外したサンルーフを固定するためのもの。

 

 

オーナーの好意で試乗させてもらったところ、予想以上の速さに驚かされた。圧縮比が低いだけにNA領域でのスロットルレスポンスはダルイ。その一方で、トルクが明らかに盛り上がってくるのは2500rpmを超えたあたりから。3000rpmでフルブーストに達し、タコメーターの針の動きにも弾みがつく。そこから上はエンジン回転の上昇に合わせてパワーを高めながら6000rpm手前まで綺麗に伸びていく。

 

足回りは強化されていながらも、基本はストロークさせる方向。ロールが大きめに出るけど、油圧アシストを持たないステアリングを通してタイヤの接地感がしっかりと伝わってくる。車重が軽くてホイールベースも短いから、コーナリングが楽しいのなんの!

 

今乗っても十分な速さを体感できるのだから、40年近く前の当時は衝撃的だったのだろうなと簡単に想像が付く。“POWERED by HONDA”、恐るべし!

 

●SPECIFICATIONS
車両型式:AA
全長×全幅×全高:3380×1570×1460mm
ホイールベース:2220mm トレッド:FR1370mm
車両重量:690kg
エンジン型式:ER
エンジン形式:直4SOHC+ターボ
ボア×ストローク:φ66.0×90.0mm

排気量:1231cc 圧縮比:7.5:1

最高出力:100ps/5500rpm

最大トルク:15.0kgm/3000rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式:FRストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR165/70R12

 

●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)