「D1GPマシン名車列伝10連発」時代を切り開いたスーパーチューンド達

公開日 : 2020/08/03 06:30 最終更新日 : 2020/08/03 06:30


D1マシンの歴史を辿ればチューニングの進化も見えてくる!

 

画期的なメイキングで大きな影響を与えたマシンを特集!

 

今年で20年目を迎えるD1GPだが、不変の主力車種と言えばシルビア系とツアラー系だ。しかし、この間には様々な個性派マシンが登場し、注目を集め、新機構を流行らせ、時代を切り拓いてきた。今回はそんなD1マシンメイキングに大きな影響を与えたマシンを10台紹介。時代ごとのトレンドとその進化を見ていこう。

 

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●2003年:HKS ハイパーシルビアRS-2(S15)

ドライバー:谷口信輝

 

 

まだD1マシンが“ストリートチューニングカー”の延長線上だった時代に、完全なるドリフト競技専用仕様として登場し、衝撃を与えた1台。フロントのタイヤハウスはストロークを確保するためにサイクルフェンダー化され、インタークーラーは接触時にダメージを受けにくいよう後退させて搭載する“中置き”を採用。

 

 

さらにリヤシート部分のフロアはトンネル形状とし、オイルクーラーを設置するなどのメイキングも。このシルビアの登場以降、各チームは“ドリフト競技専用”のマシンメイクを開始する。

 

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●2004年:UP GARAGE スプリンタートレノ(AE86)

ドライバー:前田謙

 

 

200馬力に満たないNAのハチロクが多かった2004年当時に投入され、大きな話題を読んだのがこのアップガレージスプリンタートレノだ。

 

 

エンジンは4A-Gのままターボ化し、NOSまで組み合わせた300馬力仕様。さらに制御はモーテックという先進的なものだった。軽量ボディにハイパワーなユニットというパッケージは強力で、ハチロクを超えた迫力の走りを披露。ただし先進的すぎたのか、当時このパッケージが他のハチロクに波及することはなかった。

 

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●2005年:YUKE’S CUSCO with ADVANインプレッサ(GDB)

ドライバー:熊久保信重

 

 

現行車種で戦いたいという意欲と、ラリーカーが好きだったからという理由で熊久保が選んだベース車種。車両製作はインプレッサのノウハウが豊富なJUNオートメカニックが担当し、2006年にチャンピオンを獲得した。

 

 

エンジンはフォレスターのEJ25ベースの550馬力仕様だが、排気量が大きいこともあって同程度のパワーのシルビアよりフラットトルクだったという。ミッションはホリンジャー6速シーケンシャル、デフはスカイラインGT-Rのものを流用。ラジエターはクラッシュ対策でリヤにマウントされ、これが後のトレンドとなった事は言うまでもない。

 

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●2006年:DRoo-P スプリンタートレノ(AE86)

ドライバー:吉岡稔記ほか

 

 

NAの4A-Gへの拘りから生み出された異色のドリフトスペック。この前の車両からNOSは使っていたが、このマシンで究極のレベルに達した。

 

 

この時期、低回転域でトルクをカバーするためにNOSを使っていた車両は多かったが、このAE86は純粋なパワーアップのためにほぼ回転全域でNOSを噴射し、その使用量はハンパではなかった。軽量ボディとも合間って、スタート直後の加速はターボ車をも凌駕するほどだったのだ。

 

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●2007年:TEAM TOYO with River Side(PS13)

ドライバー:黒井敦史

 

 

D1初期からRB26を搭載したワンビアで参戦していたが、しばらくはタイヤのグリップが追いつかず、パワーを生かせなかった。それがR1Rのサイズ設定が拡大されたことで、走りは異次元レベルに到達した。

 

 

そして2007年に低回転のトルクを求めて1JZを投入。シーズン中に2JZの腰下を組み合わせた1.5JZ仕様を経て2JZ仕様に進化。現在では超定番のシルビア+2JZというパッケージの先駆けとなったマシンだ。

 

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●2007年:YUKE’S クスコ チームオレンジランサー with ORC(CT9A)

ドライバー:熊久保信重

 

 

インプレッサの次に熊久保が投入したラリーカーベース第2弾。こちらも製作はJUNオートメカニックが担当した。

 

 

エンジン横置きのままでは駆動系が大パワーに耐えられないため、4G63を縦置きに変更するという大改造を敢行。異例のマシンメイクだったが、優勝も果たすなどトップレベルのポテンシャルを見せた。この後、熊久保は2009年にもエンジンを縦置きにしたエボXを投入するが、この手法を真似するチームは現れなかった。

 

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●2007年:TEAM22 FNATZ MARKII(JZX100)

ドライバー斎藤太吾

 

 

斎藤太吾と2JZエンジンをドリフト界に知らしめた1台。この前のJZX90からスピードで注目されていた斎藤だが、2007年に投入したJZX100はボディを徹底的に軽量化し、大パワーを出す2JZエンジンを載せた。

 

斎藤は特に加速区間後半の伸びで圧倒的な強さを発揮し、2008年にはチャンピオンを獲得。これ以降、斎藤に対抗するためにとにかくパワーを求めるチームが増え、その結果、現在の2JZ全盛をもたらしたのである。

 

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●2012年:DRIVE M7 ADVAN MAX ORIDO RACING 86(ZN6)

ドライバー:織戸学

 

 

海外のレース事情に精通しているMAX織戸が、レーサーとしての知見を活かして製作したスーパーチューンドがこのトヨタ86だ。

 

 

V8エンジンを搭載している他、デフにクイックチェンジを採用したり、リヤサスペンションにワイズファブを使うなど、その後のD1車両の流行をいち早く採用。さらに、スクートスポーツのライドハイトシステム(左右のオイル室を連結したダンパー)もテストするなど、貪欲に新技術を求め続けた。

 

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●2014年:GReddy 35 RX Spec-D(R35)

ドライバー:川畑真人

 

 

D1GPでは初のR35GT-R。完全FR駆動に変更し、トランスミッションも前寄りに搭載したドリフト専用車両だ。当初は制御の面で少々苦労し、電装系トラブルに悩まされたりもしたが、完成度を高めて2015年にシリーズチャンピオンを獲得した。

 

 

数値的には同程度のパワーの2JZ車両もあるが、VR38は明らかに加速力で上回っており、ボディが重いためにコーナーでは奥まで突っ込めないにも関わらず、高い進入速度をマークしてその性能を証明した。

 

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●2019年:Team TOYO TIRES DRIFT GR Supra(2019年)

ドライバー:川畑真人

 

 

2JZ搭載でデビューしたマシンだが、最終戦を前にエンジンをトヨタの3UZに変更。4.3LのV8ターボとなった。川畑が大排気量のVR38エンジンに乗り慣れていたこと、GRスープラはトラクションに優れることもあり、さらなるパワーとトルクを求めた形だ。

 

 

7月23~24日に無観客で行われた開幕戦(奥伊吹ラウンド)では盤石の走りで優勝を獲得。GRスープラ勢で初のチャンピオンに輝き、その戦闘力の高さを証明して見せたのだ。

 

【関連リンク】

D1グランプリ公式サイト

https://d1gp.co.jp/