「ギャランVR-4らしさを徹底排除!?」完成までに8ヵ月を要した本格USDM仕様

公開日 : 2020/07/25 13:00 最終更新日 : 2020/07/25 13:00


VR-4ベースで北米ギャランの普及グレードESを再現!

 

細部にまで至る拘りがハンパじゃない

 

2019年3月に筑波サーキットで開催されたハイパーミーティング。その時、E30系ギャラン…のようなクルマ(笑)をP5駐車場で発見した。

 

早速、オーナーを捕まえて話を聞くと「ベースはギャランVR-4なんですけど、外装を北米仕様の普及グレードESにしてるんですよ」と変態的な返答が…。後日、改めて取材させてもらった事は言うまでもない。

 

ギャラン北米仕様のグレード展開は、スポーティにして最上級のGTZを筆頭にLS、ES、DSの4つが基本。エンジンはGTZが3LV6の6G72型(195hp)、もっともベーシックなDSが2.4L直4の4G64型(140hp)で、その間にあるLSとESには3LV6と2.4L直4の両方が用意された。

 

 

ベースはVR-4なので、2.5LV6ツインターボの6A13型を搭載。北米仕様にはラインナップされないエンジンだけに、VR-4ベースであえて廉価グレードESを作るというのが面白い。

 

そもそもベース車が同じで、日本仕様を北米仕様にリメイクするのは簡単なんじゃ? と思っていたが、現実はそんなに甘くはなかった。

 

まず、パーツの手配。簡単に手に入るモノがあれば、探してもなかなか出てこないモノもある。例えば、車名ロゴが入ったサイドモール。中古品も出回っておらず入手までには相当苦労したそう。

 

パーツの交換&装着も一筋縄ではいかず、日本仕様よりも薄型なヘッドライトユニットひとつとっても完全ボルトオンとはいかず、部分的に大きな修正や加工が伴うなど、とにかくすんなり事が運ばないのだ。

 

 

ヘッドライトユニットを交換するには、バンパーやコアサポートも北米仕様から移植する必要がある。「コアサポートとボンネットキャッチはセットで交換しないと、ボンネットが閉まらなくなっちゃうんです」とオーナー。そのため、ボンネットオープナーが助手席側に装着されることに。

 

 

ES標準ホイールは16インチでリム幅6Jだが、VR-4は6.5J。でも、ES用ホイールキャップを装着するにはスチール製ホイールでなければならない。そこで選んだのが6.5J×16のグランディス用。タイヤは225/50サイズのプロクセスR1Rが組まれる。また、フロントフェンダーに付くサイドウインカーは撤去してスムージングしている。

 

 

日本仕様とは形状が大きく異なるサイドミラー。北米仕様では電動格納機能が付かないため、ベースとミラー本体が一体成型となる。これはかなりスタイリッシュ!

 

 

ドアが閉まっていれば分からないだけに、「こんなところまで!?」と思ったのがBピラー。オーナーいわく「日本仕様はボディ同色のままですけど、北米仕様では上部がブラックアウトされているので塗装しました」とのこと。USDMとは、こういうことの積み重ねなのだ。

 

 

リヤのナンバー付近にも違いがあったり…。答えはナンバー灯。日本仕様は左右に1個ずつ付くが、北米仕様は真ん中にひとつとなる。これも説明されなければ理解できないポイントだ。

 

 

5マイルバンパーを装着する北米仕様は日本仕様よりもバンパーが長く、マフラーがVR-4のままだとテールエンドがバンパーの奥に引っ込んでしまう。そこで、ワゴン版ギャランと言えるレグナム用マフラーを流用。基本、無加工で装着できてバンパーとの位置関係も適正になる。

 

 

ボディは北米仕様に用意されるボデガベージュメタリックでオールペン。カラーの再現性を高めるために、まず北米ギャランのフューエルリッドを取り寄せ、それをサンプルに色を調合してもらった。リヤウイングを外して、テールランプとリヤバンパーは北米仕様に交換。トランクリッド右側にはESエンブレムが装着される。

 

一方、内装も凄い。もしスポーティなVR-4のままだったら、外装を北米ES仕様に仕上げた努力も報われなくなってしまう。

 

そこでオーナーが取った行動は北米ES仕様と同じベージュ内装を持つギャランの兄弟車、アスパイアビバーチェを探しまくり、部品取り車として丸ごと1台購入。そこから移植できるモノを全て移し替えたのだ。

 

 

スポーティなVR-4から、あえてグレードダウンが図られたダッシュボード周り。ウレタン製ステアリングホイールや、リヤスピーカーボード中央のハイマウントストップランプなども、もれなく装着されている。

 

 

オーディオも北米用PYLE製に交換。FMラジオの周波数帯が違うため日本では受信できなくなる局もあるが、それよりも北米仕様としての再現度を高さを重視して選ばれたヘッドユニットだ。

 

 

シートやドアトリムもアスパイアビバーチェ用に交換。ラグジュアリーそのもので、スポーティグレードのVR-4ということを感じさせるところは、どこにも見当たらない。もはや執念すら感じるクルマ作りである。

 

 

右ハンドルの日本仕様をベースとして、細部に至るまで忠実に再現された北米ES仕様。イマイチやる気が感じられない見た目なのに、中身はVR-4というギャップに興奮する。ギャラン…のようなクルマが迫ってきたら、おとなしく道を譲るのが正解だ。

 

■SPECIFICATIONS

車両型式:EC5A

全長×全幅×全高:4680×1740×1420mm

ホイールベース:2635mm

トレッド(F/R):1510/1505mm

車両重量:1460kg

エンジン型式:6A13

エンジン形式:V6DOHC+ツインターボ

ボア×ストローク:φ81.0×80.8mm

排気量:2498cc 圧縮比:8.5:1

最高出力:280ps/5500rpm

最大トルク:37.0kgm/4000rpm

トランスミッション:5速MT

サスペンション形式:FRマルチリンク

ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:FR205/55R16

※ベース車ギャランVR-4の数値。

 

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

●取材協力:Speedy 東京都江戸川区春江町3-14-12 TEL:043-310-6471