「10系ソアラの隠れキャラ、VRターボを捕獲!」M-TEU型エンジン搭載の激少ターボモデル【ManiaxCars】

公開日 : 2020/06/23 13:00 最終更新日 : 2020/06/23 13:00


GT系モデルを凌ぐ希少性! フルノーマルで残ってるのが奇跡的!

 

デジパネやイントラ製ホイールが懐かしい

 

1981年2月に発売された初代10系ソアラは、排ガス規制を乗り越えた国産車が再びハイパフォーマンスを目指すキッカケにもなった1台だ。中でも2800GT系は170psを発揮する2.8L直6DOHCの5M-GEU型を搭載。日本市場にはなかった高級スペシャリティクーペというジャンルを切り拓き、瞬く間に人気モデルとなった。

 

…と、10系ソアラを語る時、話題に上がるのは決まって2800GT系。イメージリーダーだから前面に出てくるのは仕方がないことだけど、ニッパチGTに食傷気味の人も少なくないはずだ。

 

 

そんなマニアックな方々にオススメなのが、10系ソアラの登場に遅れること5ヵ月、81年7月に追加されたVRターボとVIIターボ。

 

 
エンジンは2.0L直6SOHCのM-EU型をターボ化したM-TEU型。当初はインタークーラーレス仕様で145ps/21.5kgm。同じ2.0L直6でも1G型に比べると、カムカバーやパワステオイルポンプなどに時代を感じる。また、そのトルク特性を活かすため、ミッションは4速ATのみの設定とされた。
 

 

ターボチャージャーはまだトヨタ自社製のCT系でなく、ギャレットエアリサーチ社製が使われていた点に注目。その後、83年のマイナーチェンジで2つのグレードを2.0ターボに一本化。水冷式インタークーラーの採用や本格的なエンジン制御ECUの導入などにより、カタログスペックは160ps/23.5kgmに向上した。

 

ただ、10系ソアラとしてはこのマイナーチェンジで新開発2.0L直6DOHCの1G-GEU型を載せた新グレード、2.0GTが追加されたので、その陰に2.0ターボが隠れてしまった気がしなくもない。

 

取材車両は前期型145ps仕様のM-TEU型を載せたVRターボだ。2.8Lも2.0LもDOHCエンジンを載せたGT系はまだ見るが、ぜひ取材したいと思えるほどのVRターボがまさか残ってるとは思わなかった。それもフルノーマル、純正イントラ製14インチホイールまで履いているのだから、これ以上何を望むと言うのだろうか。

 

 
室内を見ていく。手前にスラントさせることで前席の開放感を生み出すデザインとされたダッシュボード。取材車両にはマニュアルエアコンが装備されているが、VRターボではオプション設定だった。
 

 
デジタル式スピードメーターとLEDバーグラフ式タコメーターを軸としたエレクトロニックディスプレイメーターは、蛍光管式の燃料計が表示されなくなるというのが持病だとか。また、VRターボとVⅡターボにはブーストが正圧域に入ると点灯するターボインジケーターも備わる。
 

 
ステアリングコラム左側のダッシュパネルには“turbo”エンブレムが装着される。その下には、パーキングランプとメーター照度コントロールの各スイッチが付く。
 

 
当時、トヨタ車の多くに採用されてたスピードアラーム。ダイヤルで設定した任意の速度になるとアラームで知らせてくれるという、親切であり、それ以上にウザくもある珍装備だ。
 

 
スピードアラームの設定速度は30〜65km/hの範囲で5km/h刻み。メーターパネルの右下に設定速度がデジタル表示される。
 

 
VRターボ標準のオーディオはAM/FMマルチラジオのみ。取材車両にはオプション設定だった録音機能付きカセットデッキも備わっていた。純正オーディオが残ってることに感動。ボタンを押すと針がピッ…と動くチューナーが懐かしい!
 

 
生地がモケットになり、前後調整式ヘッドレストを採用するのがVIIターボとの違いとなる前席。
 

 
シートベルトには車名ロゴが入るなど凝ったものになる。
 

 
後席はヘッドレスト一体型のハイバックタイプで、大人2人が快適に乗れるスペースが確保されている。
 

 
当時はまだドアミラーが認可されてなかったため、選択肢はフェンダーミラーのみ。カタログによると、『タルボ型電動式リモコンフェンダーミラー』というのが正式な名称らしい。
 

 
ボディサイドのストライプとturboステッカーはオプション品。ただし、ボディ色がシルバー/ブラックの2トーン、ストリームトーニングの場合はturboステッカーのみでストライプは入らない。
 

 
リヤクォーターウインドウ内側に設けられたクォーターサンシェード。2800GT系と2000VRターボ、2000VXのみに装着されるアイテムだ。これがあるのとないのとでは、横から見た時の印象が大きく変わる。
 

 

VRターボと言えばこれ。シリーズで唯一、標準装備(2000VXとVRにオプション設定)されたドイツのイントラ社製14インチアルミホイールで、タイヤは2800GT系と同じく195/70R14サイズのミシュランXVSが組み合わされた。取材車両は同サイズのエナセーブEC204を装着。

 

さて、待望の試乗タイムだ。意外にも走りは出だしから軽快。過給効果が望めない3000rpm以下の領域でもトルク感がしっかりあって、同じ2.0L直6の1Gよりフィーリングが良くて扱いやすい。

 

そこからアクセルペダルを深く踏み込んでいくと、3000rpmを超えたあたりでターボインジケーターが点灯。ボディがスッ…と軽くなったように加速感に弾みをつける。低中回転域では間違いなく1Gよりトルクがあるし、つまりはこっちの方が速いということだ。

 

そして、トヨタがこのエンジンに4速ATしか用意しなかった理由もわかった気がする。トルクがあれば、仮にMTだったとしても煩わしいシフトチェンジは必要ない。だったら、Dレンジに放り込んでおくだけでいいATの方が好マッチングだと判断したのだろう。

 

 
イージーかつジェントル、でも速い。VRターボには、そんな都合の良すぎる三拍子が見事に揃っていたのだ。
 

■SPECIFICATIONS
車両型式:MZ10
全長×全幅×全高:4655×1690×1360mm
ホイールベース:2660mm
トレッド:1440/1450mm
車両重量:1250kg
エンジン型式:M-TEU
エンジン形式:直6SOHC+ターボ
ボア×ストローク:φ75.0×75.0mm
排気量:1988cc 圧縮比:7.6:1
最高出力:145ps/5600rpm
最大トルク:21.5kgm/3000rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR195/70R14

 

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)