「オーテック渾身のマーチボレロA30(K13改)がヤバすぎる」全幅1.8m超の30台限定モデル!

公開日 : 2020/05/29 06:30 最終更新日 : 2020/05/29 06:30


これは12SRの後継だ! オーテックマーチボレロA30の全て

 

150psを誇る専用チューンの1.6Lエンジンを搭載

 

現行K13型マーチの登場は2010年7月。日本仕様は新開発1.2L直3DOHCのHR12DE型エンジン(79ps/10.8kgm)にエクストロニックCVTのみの組み合わせとなる。また、K13はタイ日産で生産され日本に輸入されるのが、国内生産だったK12までのマーチと大きく違うところだ。

 

 

そんなK13のボレロをベースにオーテックが手がけた30台の限定モデルが、同社の創立30周年を記念して16年4月に発売されたボレロA30。K12に設定されてた12SRの後継機と言える存在で、先行開発車両ボレロRの市販バージョンという位置付けになる。

 

販売はネット上で購入希望者を募り、応募者多数だったため抽選が行われた。限定30台に対して600名以上の申し込みがあったというから倍率は20倍以上。そんな狭き門をかいくぐったのが、今回取材をお願いしたUさんだ。

 

 

まず目を引くのは前後フェンダーを大きく張り出させたワイドボディ。全幅はベース車の1665mmから1810mmへ、何と145mmも拡大されているのだ。「おいおい、マーチなのに全幅1.8mオーバーかよ!?」と思わずにはいられない。トレッドも前1470/1475mmから前後1560mmに拡幅され、マーチらしくないスタンスを見せる。

 

ちなみに、コーナリング性能を示すひとつの指標であるホイールベース/トレッド比は1.57。この数値、実はZ34フェアレディZの1.63(ホイールベース2550mm/後トレッド1565mm)を上回るもので、ボレロA30のディメンションがいかに異質かって事も分かるはず。

 

 

搭載エンジンは1.6L直4DOHCのHR16DE型で、HR15DE型を載せていたボレロRからの大きな変更点になる。このエンジンのチューンング内容がハンパなく、インテークポートを研磨したシリンダーヘッドに専用カムシャフトとバルブスプリングをセット。

 

腰下はバランス取りしたクランクシャフトに専用ピストンと高強度コンロッドが組み合わされ、圧縮比は11.2:1まで高められている。さらに、吸排気チューンを行なって制御は専用ECUが担当。NAながら、K12マイクラC+Cなどに搭載された素のHR16DE型に対して、実に40psアップとなる150psを発揮するのだ。

 

 

リヤバンパーもフジツボ製センターデュアル出しマフラーも専用品。中間パイプも大径タイプが組み合わされ、排気効率アップとハイトーンなエキゾーストサウンドを実現している。

 

 

ミッションは5速MTのみの設定。ギヤ比(1速から順に3.727、2.047、1.392、1.029、0.820)やファイナル比(4.066)はマーチニスモSと共通となる。

 

 

パワーがベース車の約2倍にも達するエンジンを載せるだけに、ボレロA30は足回りを含むシャシーにも当然手が加えられている。

 

まずリヤ周りの剛性を確保するため、リヤフロアを4WDモデル用に変更。その上でサスペンションステー前後、フロアトンネルステー前後、テールクロスバーが追加される。足回りはレートを高めたスプリングに、ピストン径を拡大して減衰力を見直したダンパーとスタビライザーを組み合わせる。

 

専用16インチ鍛造ホイールはエンケイ製で、サイズは7.5Jオフセット+2。タイヤは205/45サイズのミシュランパイロットスポーツ3が標準装備される。また、ブレーキはフロントローター径を拡大し、リヤをディスク化。マスターシリンダーやブースター特性も最適化が図られている。

 

 

内装の専用装備としては本革巻きステアリングホイール、シフトノブやエアコン吹き出し口に配されたピアノ調フィニッシャー、アルミ製ペダルが挙げられる。また、オーストラリア製のダッシュマットは、フロントウインドウへの映り込みを避けるためにオーナーが購入したものだ。

 

 

220km/h&9000rpmフルスケールメーターが並列に配置されたファインビジョンメーター。その間の液晶パネルに水温計と燃料計、オド&トリップメーター、時計が表示される。

 

 

前席は標準でレカロLX-F IM110を装着。サポート性と快適性を高次元でバランスさせている。

 

 

後席は表皮が専用品に張り替えられる他、ヘッドレストや座面前端を前席と同じステッチで縁取ることでコーディネート。

 

全身に手が加えられたボレロA30は走り出しからソリッド感が満点で、マーチらしさを感じさせてくれるのはフロントウインドウ越しの視界くらいなものだ。

 

エンジンは、3000rpmあたりまではマーチニスモSに搭載されるHR15DE型とトルク感もフィーリングも大きな差はない。が、4000rpmを超えると一変。軽い吹け上がりでパワーを高めながら、7000rpmまで綺麗に回り切る。

 

しかも、その回り方が硬質かつ官能的で、手作業で組まれた精緻なエンジンであることを強く実感できる。フィーリングだけで言うなら、前期DC2インテRに搭載されたB18C型に似ているかもしれない。

 

 

たった30台のためだけに専用パーツを開発し、専用チューンを施したオーテック。その集大成であるボレロA30の完成度は、想像をはるかに超える高さだった。

 

■SPECIFICATIONS
車両型式:K13改
全長×全幅×全高:3865×1810×1510mm
ホイールベース:2450mm トレッド:FR1560mm
車両重量:1030kg
エンジン型式:HR16DE
エンジン形式:直4DOHC
ボア×ストローク:φ78.0×83.6mm
排気量:1597cc 圧縮比:11.2:1
最高出力:150ps/7000rpm
最大トルク:16.3kgm/4800rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR205/45R16

 

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)