「パワー競争に名乗りを上げたギャラン・シグマハードトップ」スタイリッシュなデボネア風情がたまらない!【ManiaxCars】

公開日 : 2020/04/15 15:00 最終更新日 : 2020/04/15 15:00


2L直4ターボでも弱っちい方を搭載。なんとも微妙な中間グレードのCX!

 

クルマが変態ならグレードも変態。ミツビシの層の厚さを実感する

 

ギャランとしては5代目、∑(シグマ)としては3代目にあたるモデルは、まず4ドアセダンが1983年8月に登場。翌84年10月、元々2ドアだったΛ(ラムダ)の後継という屁理屈にも聞こえる触れ込みで、4ドアハードトップが追加された。

 

86年10月には2LV6SOHCの6G71(105ps/16.1kgm)が加わり、それを搭載するCSエクストラ、CS、VS、2.0L直4SOHCターボのG63Bを載せるVRエクストラ、CX、VXの計6グレードで展開した。

 

 

ここで少しややこしいのが、G63Bターボには2種類あるということ。まず最上級VRエクストラには、低速域と中高速域で2本の吸気バルブを切り替える3×2バルブシステムと空冷式インタークーラーを備えた200ps/28.5kgm仕様の通称“ダッシュターボ”が、CXとVXには、可変吸気バルブもインタークーラーも持たない125ps/20.6kgm仕様のオーソドックスなSOHCターボが搭載された。

 

 

取材車両はCXだから125ps仕様のG63Bターボを搭載。ミッションには4速ATが組み合わされている。85年式のため、同じG63Bでも、俗に言う“シリウス”エンジンとなる。V6を含めて“サイクロン”と呼ばれるようになるのは翌86年からだ。

 

中央下に確認できるタービンノズルの細さと、そこからスロットルボディに直結するスチール製で一部が平べったいインテークパイプに注目。

 

 

また、燃料供給は電子制御式だけど、シングルポートインジェクション(ECI)を採用。ちなみにV6は各気筒にインジェクターを備え、ECI-MULTI(マルチ)となる。

 

その後、88年2月に125ps仕様のG63Bターボに代わり1.8L直4SOHC(94ps/14.2kgm)のG62Bがラインアップ。これにより、2L直4はG63Bダッシュターボに一本化された。さらに、モデル末期の89年5月には3LV6SOHC(150ps/23.5kgm)の6G72を載せる最上級グレード、デュークが加わった。

 

実車を前にして思ったのは、「そうそう、この尖ったノーズがギャラン∑だよね」ということ。外装デザインがスタイリッシュってことに改めて気づき、同時にフェンダーミラー仕様の事実にシビレる。角ばったスタイリングは今の時代、旧さよりも新鮮さが際立つから面白い。

 

リヤ周りには、そこはかとなく初代FFデボネアっぽさが漂う。…と、結局それは直線的なデザインで、サイドモールのラインに合わせてリヤホイールアーチ上端が平らになってるからだろう。しかし、逆に言えばたったそれだけでデボネア風情を感じさせてくれるのだから、三菱のデザインというのはある意味スゴイと思う。

 

 

カタログに「ラグジュアリーな乗り心地を届ける」と、うたわれたルーズクッションタイプのシート。しかも、ベロア生地を採用するあたり「さすが三菱!」と思わず膝を叩きたくなる。

 

 

後席は3人掛けだが、左右で座面を2分割することでソファ感を演出。また、ヘッドレストは前後左右の調整が可能となっている。

 

 

続いて1本スポークステアリングが特徴的なダッシュボード周り。スポーク下部には“TURBO”のロゴが誇らしげに入る。

 

 

メーターはCXのみ、液晶デジタル式が標準装備。なんというか味気もそっけもなく、左端にはエアコンの稼働状況を表示する三菱お得意のエアフローインジケーターが確認できる。

 

この当時の流行りと言えばサテライトスイッチもそう。が、∑のは少し変わっていてメーターナセル左右でなく、ステアリングコラムを幅広にして、その両脇に各種スイッチを配置してるのが独創的かつ変態的だ。

 

 

幅広ステアリングコラム両脇のサテライトスイッチは、右側にヘッドライト(ダイヤル式)、ウインカー、ハザード、リヤデフォッガー、メーター照度。アイスの棒みたいなウインカーレバーの操作性は全く違和感なし。

 

 

左側にはワイパー(ダイヤル式)、オートエアコンの各種用が設けられる。横方向スライド式とされたオートエアコンの温度調整&風量切替スイッチは非常に使いにくい。

 

 

センターコンソールは上からエアコン吹き出し口、オートエアコンオンオフ&吹き出し口切り替え、電子制御サスペンション、オーディオが並ぶ。

 

言いたいことは2つ。ひとつは、エアコン操作部を左側サテライトとセンターコンソールになぜ分けたのか?ということ。もうひとつは、純正オーディオが稼働状態(ラジオ受信確認済み、カセットプレイヤーは動作不明)で残ってるのが変態ということだ。

 

 

開口部の大きさ、奥行、深さともに余裕のトランクスペース。CXにはトランクスルー機能が付かないが、これだけの容量があれば、日常域で積載性に不満が出ることはまずないと思う。

 

 

外装をチェック。純正サイドバイザーはステンレス製で、後端に“∑”のロゴが入った樹脂製ガーニッシュが付く。ウインドウ周りやサイドシル付近にあしらわれたモール類と合わせ、外装にラグジュアリー感をプラスしてくれる80年代っぽい加飾アイテムだ。

 

 

純正オプションとおぼしき14インチアルミホイールを装着。標準では鉄ちんにフルホイールキャップ、タイヤは185/70R14サイズとなるが、取材車両には195/65R14サイズのアスペックA300が組み合わされる。

 

 

マフラーエンドにはオーバル形状のフィニッシャーが装備され、ラグジュアリーセダンらしさを演出する。また、“∑”のロゴが入ってることから推測するに、マッドフラップもほぼ純正品で間違いなし。しかも、程度の良さが奇跡的!

 

試乗して感じたのは、125psを発生するG63Bターボのマイルド感。というか、7.5という超低圧縮比によってNA領域はパンチに欠ける。

 

そのままアクセルを踏み込むと、バーグラフ式ブースト計のインジケーターが右に伸び、3000rpm前後で正圧域に突入。最大ブースト圧はせいぜいコンマ3~4キロだろうが、昔ながらのターボらしく、過給によるパワーの盛り上がりを明確に感じられるのが楽しい。

 

 

続いて、電子制御サスペンション(ECS)をチェック。ストラット上部にそのユニットが備わる。減衰力オート(基本ソフト)でステアリングを切り込むと、ノーズを大きく沈ませながら外側前輪に思いっきり荷重を載せて曲がっていくのが姿勢変化としてはっきり分かる。

 

 

そこでセンターコンソールのスイッチで減衰力をスポーツモードに変更。すると、直進状態でも分かるほどシャキッとした乗り味に! ステアリングを切ってみる。おっと、フロントの沈み込みをほとんど感じず、大げさに言えば、ノーズが平行移動するかのようにスッと向きを変えるではないか!

 

ちなみに、この電子制御サスペンション、CXにはオプション設定だろうと思ってカタログで調べたら、装備表の欄外に「オプションについては、セールマンにお問い合わせください」という信じられない但し書きを発見し、思わず失笑。多分アルミホイールとのセットオプションだったんだろうと推測している。

 

内装とエンジン特性は実にハイソカー的。だというのに、外装とスポーツモード選択時の足回りはやたらとスポーティ。三菱はのち、電子デバイスの開発、採用に注力していくが、そのハシリにして一端を垣間見た気がする。

 

 

巷じゃGX61/71の人気が急上昇中。でも、2度目のハイソカーブームでメジャー車種を選んだって面白くない。ここはひとつ、マイナー車かつ半端グレードの∑ CXを激推ししてこそ、真の変態グルマ好きというものだ。

 

■SPECIFICATIONS

車両型式:E15A

全長×全幅×全高:4660×1695×1375mm

ホイールベース:2600mm

トレッド(F/R):1445/1405mm

車両重量:1240kg

エンジン型式:G63B

エンジン形式:直4SOHC

ボア×ストローク:φ85.0×88.0mm

排気量:1997cc 圧縮比:7.5:1

最高出力:125ps/5500rpm

最大トルク:20.6kgm/3000rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式(F/R):ストラット/トーションビーム

ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:FR185/70R14

 

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

●取材協力:アンティークス 愛知県安城市池浦町小山西72-4 TEL:0566-77-8500

 

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