「谷田部で320キロを突破したMA70スープラを現代にアレンジ!」マニア垂涎の最高速仕様【OPTION back number】

公開日 : 2020/04/06 05:30 最終更新日 : 2020/04/06 05:30

今回紹介するのは、名チューナーYSR青海氏が現役時代に手掛けた70スープラだ。ベースは1JZ搭載のJZA70ではなく、7M-GTを搭載したMA70。そのパワースペックは、谷田部全盛期に200マイルオーバーを記録した伝説のスープラを彷彿とさせる仕上がりだ。(OPTION誌2004年10月号より抜粋)

 

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往年の名チューンドに憧れたオーナーが望んだ至上のMA70最高速仕様!

 

後世の技術も投入して実現した安心して踏めるモンスタースープラ

 

時代が昭和から平成に変わる頃、谷田部で200マイルオーバーを果たしチューニング界を賑わせたトラムのスープラターボA。そのクルマに憧れたオーナーが、トラムスープラを手掛けたYSR(※)青海代表に「同じ仕様のスープラを作ってほしい」と依頼。完成したのがこのMA70だ。

 

 

エンジンは、1mmオーバーサイズのオリジナルピストンを組んで3.1L化した7M。クランクシャフトは純正だが、軽量加工を施すことでレスポンスアップを実現している。

 

また、ハイカムの組み込みに合わせてラッシュアジャスターをインナーシム化するなど、ヘッド周りのチューニングも抜かりなし。ちなみに600ps前後でレブリミット7000rpmというのが、速さと耐久性を兼ね備えた7Mチューンの理想とのこと。

 

 

タービンは俗に”F1タービン”と呼ばれるRX6をツインで装着。最大ブースト圧1.2キロ時に650psを発揮する。

 

 

シングルでも大きな問題は無いそうだが、ウエストゲートはトラスト製のタイプRを2基装着。フルブーストになる前に2つのタービンの排圧が微妙にズレてしまうことがあり、それを抑制し、本来の性能を引き出すべくタービンそれぞれに独立したウエストゲートを設けているのだ。

 

 

スロットルボディはランドクルーザー用を流用。YSR青海代表いわく「定番のインフィニティ用90φでも良かったのですが、トヨタ車ですしトヨタ純正パーツ流用の方が気分的に良いと思いまして」とのこと。バタフライ径はMA70純正の55φから70φに拡大。ワンオフのサージタンクとともに吸気の高効率化を実現している。

 

 

吸気系と同じく、フロントパイプ以降の排気系もワンオフで製作されている。高回転域における排気の抜けを重視して、メインパイプは90φをチョイス。

 

 

クラッチはレリーズシリンダーを固定するブラケットやレリーズフォークなど、プル式からプッシュ式への作動変換パーツはYSRで独自に製作したもの。クラッチペダルが重くなることもなく、熱による切れ不良なども起きづらいように対策されている。

 

 

サスペンションはビルシュタインの車高調をベースにTRDのスプリングを合わせたものを装備。バネレートはフロントが16kg/mm、リヤが10kg/mmだ。またリヤサスペンションメンバーはオリジナルのカラーを使ってリジットマウントされている。

 

ブレーキは前後ローターともにJZA80スープラ純正に交換。キャリパーはフロントにAPレーシングの4ポット、リヤにはJZA80純正の2ポットを装着。

 

 

ホイールはアドバンレーシングRG。前後ともに17インチでフロントが9.5J+38、リヤが10.5Jの+40という組み合わせだ。

 

 

ベースが上級グレードである3.0GTリミテッドのため、デジタルメーターが標準装備。エアコンの操作パネルはグローブボックス内に移設され、センターコンソールにはトラスト製のブースト、燃圧、排気温、空燃比計。オオモリ製の水温、油温、油圧計の7つのメーターをセット。さらにステアリングコラムの上にはピボット製のシフトタイミングランプを装備している。

 

 

中央のアルミケースにはバッテリーを収める。その脇に付いているのはボッシュ製燃料ポンプを駆動するためのリレーだ。運転席後ろのロールケージのバーには消火器も備える。

 

 

リヤウイングはアブフラッグの汎用タイプをベースに、ステーの高さや翼端板の形状を見直したGTウイングだ。

 

 

その他のエアロパーツとしてはフロントにリップスポイラーとターボA用のダクトを装備しているくらいなもの。極力無駄を省き、機能上必要と判断されたパーツのみで構成されたエクステリアは独特のオーラを放つ。

 

 

パワー特性としては、5000rpm以降から強烈なターボパワーが襲いかかる高回転型のドッカンターボ仕様だ。しかし、往年の最高速マシンをモデルにしていることを考えると方向性は完璧。

 

一方、足回りなどは後発車両のパーツ流用や現代のノウハウを注ぎ込んでスタビリティを徹底的に高め、“きちんと踏んでいけるクルマ”に仕上げているのである。

 

単なるオールドチューニングカーの復刻ではなく、荒々しい特性のマシンを安心して楽しめるよう仕上げるアプローチは、実にYSRらしいと言えるだろう。

 

(※青海氏の体調不良によりYSRは閉店しています。)