「なぜシルビアにスバルSTIマークが!?」衝撃の珍チューンド、現る!

86/BRZのターボ版をイメージして製作された水平対向FRマシン!

 

偶然の連鎖から製作されたEJ20シルビア

 

埼玉県のディフィートレーシングから編集部宛に「シルビアにEJエンジンを積んだんですけど、どうですか?」との連絡が入った。詳細を聞くと、ベースはS14シルビアでドナーはGDBインプレッサとのこと。面白い、面白すぎる! 速攻で取材の段取りをして現場に向かうと、そこにはSTIマークをグリルに取り付けたイチヨン後期の姿が…。ボンネットのダクトが明らかにインプレッサのそれである。

 

グリルに貼られたSTIエンブレムはEJ20搭載車であることの証だ。

 

事の経緯は、S13シルビアへのエンジンドナーとしてS14後期を用意したことが始まり。エンジン&ミッションは取り除かれてしまったが、ボディの程度は悪くなく、処分するには惜しい状態。何か適当なエンジンを搭載してお遊びマシンにしようかと思案していたところに、ちょうど部品取りのGDBインプレッサを入手。「水平対向のFRターボというパッケージは、86/BRZのアニキ分みたいで悪くないな」という思いが芽生え、製作をスタートしたという。

 

エンジン本体は基本的にノーマル。

 

GDBインプレッサに搭載されるEJ20は、カタログスペックで280ps/42kgmを誇る。ノーマルのまま搭載したとしても、SR20DETのポン付けターボ仕様くらいのポテンシャルはゆうに見込める。エンジンルームの寸法もオッケー。そうして意気揚々と換装作業に取り掛かったのだが、そう簡単に行かないのがエンジンスワップというもの。様々な問題が噴出し、トライ&エラーの連続になったのである。

 

ECUはインプレッサ用を使い、エンジン関係の細かい制御はHKSのF-CON iSで行なっている。

 

換装にあたっては、エンジンと制御のECU、ハーネスなどは丸ごとGDBインプレッサのものを使用。これは作業効率を高めるためであり、フル移植することでOBDIIポートが機能するようになるというメリットまで考えてのことだ。

 

シフトレバーも純正と同様の位置に配されており違和感のない仕上がり。

 

ミッションもGDB用を移植しているが、ミッションと一体構造となっているフロントデフはキャンセル、プロペラシャフトの1軸側はインプレッサ用とシルビア用を加工して繋ぎ合わせることでバランスを取っている。

 

ボンネットを開けると登場するSTIのインタークーラーがかなりの違和感を放つ。

 

このエンジンスワップでかなり手間取ったというのが、エンジンの高さや下面に関する位置合わせ。というのも、水平対向エンジンはオイルパンや上部に搭載されるインマニ、インタークーラーまで含めると想像以上に全高がある。最高部をボンネットに合わせ、クランク軸をミッション&プロペラシャフトの軸と合わせると、下側のオイルパン&EXマニがかなり低い位置になってしまうのだ。

 

車体のかなり下部までパワーユニット類が食い込んでいることが分かる。

 
何とか辻褄を合わせながらメンバー類の加工や製作を行い、ついに完成まであと一歩というところまで作業が進んだ段階でまた問題が発生。シルビア用アームとEXマニの位置関係が悪く、そのままでは干渉してしまうのだ。
 

多くの日産車は、本来前側にテンションロッドがあるが、スペースの都合で後方へと移設されている。

 
そこで、本来アクスルより前側にあるシルビアのテンションロッドをキャンセルし、サスメンバーを溶接加工してトヨタ車のように後方にテンションロッドを移設する荒技を敢行。もはや知恵の輪状態である。
 

リヤフェンダーは貼り付けタイプでワイド化。

 
こうして、様々な問題をひとつずつクリアしていきながら完成にこぎつけたEJ20仕様のS14シルビア。現在はサーキットでドリフトを楽しめるまで熟成が進んでいるが、唯一、元のパッケージに劣ると感じるのが重量バランスとのこと。フロントが重くなってしまったことでトラクションが掛かりにくくなったのだ。そのため、リヤをブリスターフェンダーでトレッド拡大して対応している。
 

いずれはインタークーラーの前置き化を行なってさらなるパワーアップを目指すとのこと。

 

スバルのSTIマークと大きなボンネットダクトは決してパロディーではなく、開発コンセプトである「86/BRZのアニキ分みたいな存在」を具現化したものに他ならないというわけだ。

 

●取材協力:ディフィートレーシング 埼玉県越谷市三野宮523 TEL:048-961-8018