「関西で独自の進化を遂げた環状スタイルの今」往年のシビックはまだまだ現役だ!

公開日 : 2020/02/25 11:00 最終更新日 : 2020/02/25 14:07

環状スタイルのシビックは大阪エリアでまだまだ現役!

 

旧世代シビックはなぜ関西で支持され続けるのか?

 
東の東京オートサロン、西の大阪オートメッセ。数多くのカスタマイズカーが一堂に集うという点は同じだが、東西のクルマ文化の違いからか、会場に並ぶ車種にはかなり違いがある。

 

FIVE MARTのワンダー。環状族スタイルをベースにUSDMをミックスしたスポーツ&スタイリッシュな仕上げを施す。

 

代表的なものとしては、オートサロンではほとんど見かけないのに、オートメッセでは毎年かなりの台数が出展されるホンダのシビックだ。しかも最新のFK型などではなく、ワンダー、グランド、EGといった20年以上前のモデルが人気で、その仕上がりも現在のJDMとも少し異なるスタイルなのだ。
 

珍しい北米仕様のワンダーSiも展示されていた。エンジンはZCではなく、EWのインジェクションなのが特徴。

 
なぜ古いシビックが関西で人気なのか? 複数のショップから聞いた話を総合すると、発端は鈴鹿サーキットで人気の高かったシビックワンメイクレースとなる。そこで放出されたレース車両を公道へ持ち込み、阪神高速1号線(通称環状線)でレースまがいの行為を開始。徐々に規模が膨らんでいき、1980年後半あたりでピークを迎えるわけだが、そうした大きな流れの中で「環状族」と呼ばれるイリーガルな文化は成長していったのである。
 

大阪のシビック専門店の老舗のひとつであるテンプルレーシングのEF。今やなきホンダプリモのハチマキが懐かしい。

サイドバーは乗降性を考え、下方にセット。シートはBRIDE最新作のジータ4を左右に装着。

内装、アンダーコートを剥がし、ロールケージを組み合わせるのがお約束だ。

 
リアルな大阪環状スタイルは、徹底的に軽量化したボディにロールケージを装着。直管マフラーに、サーキット仕様と同じガチガチの足を取り付けるというのが基本で、レーシングカーのような派手なカラーリングを施したマシンも数多く存在。そしてレーシングドライバー気分で夜な夜な環状へ…というのが、当時、大阪における走り屋のステータスであった。
 

テンプルレーシングのEG6(ASLAN TON号)は現役タイムアタックマシン。筑波やセントラルで最速を刻む。

K24Aエンジンにスワップされ、戸田レーシングの4連スロットルをセット。タワーバー周辺の補強がすさまじい。

 

シビックが人気となったのは、複合的な合流のある環状線で速く走るために要求される“すり抜け”に適した5ナンバーの車幅と、軽量ボディとVTECエンジンの瞬発力、ロングホイールベースによる前後のバランスの良さだ。関東の首都高や湾岸などと比べて速度域も低く、コーナーにカントがあるため、テクニックさえ磨けば大排気量車に太刀打ちできたことで、環状=シビックのイメージが出来上がったそうだ。

 

大阪オートメッセで展示された3代目のシビックはワンダーから6代目のEKまで。環状もUSDMもこの世代が人気とのこと。

EXCEEED JAPANのEKとEG。フロントバンパーorフロントリップはモードパルファムの新作をチョイス。

EXCEEED JAPANのEKはワイヤータックなどを施し、ターボ化。マフラーは上方へ向けられボンネットを突き抜ける仕様。

 
ちなみに、当時の主力モデルは軽量なワンダー、グランド、EG系で、EK以降は「曲がりにくくなった」と敬遠されていたそうだ。さらに、速さを突き詰めるために1.8Lや2.0Lへのエンジンスワップも盛んに行われ、関東では少数派のホンダ系に特化した専門店が数多く誕生。一大マーケットを形成するまでとなった。
 

 

一時は無法地帯と化しつつあった大阪環状であったが、チーム同士の抗争や警察による取り締まりの強化、そしてバブル景気の終焉など複合的な要因の重なり、90年代中盤で一気にブームは衰退。全盛期を知る人は少なくなったが、関西カルチャーを残す形でショップは存続し、多くの人に知ってもらうためにイベントへ積極的に参加しているそうだ。

 

かつての環状定番ベース車両は、現代の若いクルマ好き達の間でも人気になっている。

 

また、脈々と受け継がれてきたシビック文化は、当時の環状スタイルを受け継ぐショップだけでなく、USDMと融合し、新たなスタイルを提案するカスタムビルダーの登場により、20〜30代からの関心も高まるなど、裾野が広がっている。

 

USDMを主体とするEXCEEED JAPANはアメリカ仕様のパーツをインストールし、国内仕様とさりげなく差別化。

 

つまり、大阪環状線という特殊なステージで、スターダムに駆け上がったシビックが、古き良き時代の産物に止まらず、カスタマイズカーとして鮮度を保ち続けているのは、OSAKA JDMを愛するショップの強い思いがあるからこそ。関東では理解しがたい、関西の熱きシビック愛。その独自の改造スタイルは、今後も進化していくことだろう。(PHOTO&REPORT:山崎真一)