「400Rだと!?」“伝説”の名前を軽々しく受け継いだ新型スカイラインの功罪 | web option(ウェブ オプション)

「400Rだと!?」“伝説”の名前を軽々しく受け継いだ新型スカイラインの功罪

400Rの名に恥じぬ存在であることを切に願う

 

NISMOが400Rに込めた思いを今の日産は理解しているのか?

 

ついに新型スカイラインが発表された。405psを発揮する3.0L直噴ツインターボエンジンや回帰した丸目4灯テールなど興味深いパッケージだが、ウェブオプションが何よりも気になったのは高性能モデルに与えられた400Rというグレード名だ。まさかこんなところで“伝説”の名前を聞くことになるとは思いもしなかった。

 

 

400R。スカイライン史上最高の400psオーバーをアピールするためなのだろうが、往年の日産GT-Rチューニングファンにとってこの名前は特別だろう。

 

 

せっかくの機会なので、改めて本物の400Rを振り返ってみようと思う。登場は1996年。BCNR33型GT-Rデビューから約1年後、ニスモ渾身のコンプリートカーにその名は与えられた。

 

 

心臓部には400R専用に開発されたコンプリートエンジン「RB-X GT2」を搭載。日産工機(REINIK)製のロングストローク鍛造クランクシャフトや鍛造クーリングチャンネル仕様ピストン、鍛造コンロッドを使い、ボア87φ×77.7mmのストロークによって2771ccまで排気量を拡大。そこにN1仕様のメタルタービン+強化アクチュエーターを組み合わせて400psを発揮させた。

 

 

当時のBCNR33チューニング事情を思い起こすと、BNR32チューニングとオーバーラップする部分が多かったため、600psを超えるようなチューンドGT-Rもそれほど珍しい存在ではなかった。では、なぜそんな時代にニスモがあえて400psのコンプリートカーを出したのか? その答えは400Rの開発コンセプトでもある“意のままに操る楽しさ”を追求し、その実現には排気量アップが不可欠だったからに他ならない。

 

回転数を高めるのでなく、低回転域からのトルクを増やすことで、街乗りでも標準車とは別格に乗りやすく、さらにワインディングやサーキットに行けばちょっと手を入れた程度のBCNR33では比較にならないほどのパフォーマンスを発揮する。

 

 

そこに耐久性という尺度を加えると、ちょうどいいところが400ps、47.8kgmという400Rのパワースペックに辿り着くというわけだ。その際に選ばれた動力性能のアップ方法が、機関系にかかる負担の少ない排気量アップやN1タービンの選択ということだったのだ。

 

ただし、この内容は当時のチューニング事情からすると異例の手法でもあった。というのも、当時RB26DETTの排気量アップといえば、回転数も高めて600ps~800psオーバーを狙うようなクルマに対して行う究極的メニューとして認識されていたからだ。

 

 

ブーストアップ仕様でも実現できる400psという出力のために排気量アップを行うという概念はなく、だからこそ400Rは意外性をもってユーザーに受け入れられた。そして「ブーストアップによって絞り出す400ps」と「排気量の拡大によって湧き上がる400ps」の違いに誰もが驚いた。

 

 

ボディに至っては全幅が50mm広くなるオーバーフェンダーを装着しており、エアロパーツも派手さは控えながらもノーマルとはデザインを一新。その他にも鍛造3ピースアルミホイールやチタンタワーバー、強化ブッシュ、メーターパネル、シート、マット、キーなど、非常に多くの専用パーツが与えられ、ニスモファンのハートを鷲掴みにする1台に仕上がっていた。

 

 

ニスモ400Rは、意のままに操る楽しさを追求したニスモコンプリートの原点であり、パワーチューンが激化していた90年代のチューニングシーンに一矢報いる存在でもあった。だからこそ多くのファンを魅了し、伝説になったのだ。

 

 

新たに誕生したスカイラインの400Rが、どれほどのものかは知らない。少なくとも、400Rの名に恥じぬ存在であってほしいものだ。