【業界人コラム】三浦 慶 ROCKET BUNNY/PANDEM「世界にロケバニ旋風を巻き起こした男の素顔」

公開日 : 2019/07/30 14:10 最終更新日 : 2019/07/30 14:10

チューニングシーンに絶大な影響を与えているチューナーが、どのようにして今に辿り着いたのか? その人物像と経験談をコラム形式で綴る。第一回目はアフターエアロ業界の風雲児、TRA京都の三浦慶氏だ。

 

三浦 慶

TRA京都【ROCKET BUNNY/PANDEM】

 

「今、僕がエアロを作っているのは運命なんですわ」

 

クルマ好きになったのに理由とかキッカケとかはないですね。ボクら世代はクルマがなかったらどうもならなかった。峠とか環状を走るのが流行ってたし仲間も多かったから、必然的に走るクルマが好きになった感じですわ。

 

18歳で最初に買ったのはAE86。そん次が510ブルーバードで、次がベンツの190Eです。そっからは覚えてないですね。なんせ510ブルでも5台は乗りましたし、190Eに至っては8台も乗ってますから。

 

 

まぁ190Eは改造パーツがなくて当時は苦労しましたけど、取り敢えずバネ切ってペタンコにしてロールケージ組んで…って。それで、ポルシェ用のBBSホイールをバラしてリバレルして装着しましたね。たぶん、リバレルって僕が初めてやったんちゃいますか? 当時、橋本(橋本コーポレーション)なんか、僕のホイール見てビックリしてましたもん。

 

20歳の時に造形の世界に入って、当時は遊園地の乗り物とか噴水とかを作ってたんですけど、22歳の時にTRA京都を起業したんです。で、最初にエアロを作ったのは、近所の旧車屋から依頼されたんですわ。「材質は一緒やしできるやろ?」って。初代シルビア用でクラシックカーレースに出るためのレース用エアロでしたね。

 

 

そこから色んなメーカーのエアロ製作を裏方としてやらしてもらうようになっていくんですが、エアロブームで注文が殺到していくなか、手書きでスケッチしているんでは仕事が追いつかなくなったんですわ。

 

そんなとき、アメリカでインディアナポリスのカーイベントに行ったら、アメリカ人がマシニングを使ってエンジンブロックを掘っていたのを見て、めっちゃ衝撃を受けたんです。それで自分もCADを勉強してデザインを起こして、マスターエアロもマシニングセンタを導入して製作しようと思ったんですよ。

 

 

もともとプログラムは得意やったんです。というのも、小学校5年の頃にパソコンゲームがきっかけで3Dに興味を持って、DOSとかPC88で3Dのプログラムを組んでいたんですよ。

 

中学に入ってからはパソコンを触らんようになったけど、20歳の時に噴水の仕事でプレゼン資料を作るためにMacを買って、またCGに興味が出たんですわ。つまり、もうかれこれ28年、そんな長いことCGやってるヤツ、この業界におらんでしょう。

 

 

しかし、当時のMacは100万円とかしたくせに、HDD容量は240MBとかやったし、3Dレンダリングのボタンを押したら3日くらい掛かってしまう時代やった。でも、自分のエアロが受け入れられるようになって、デザインや生産にスピードが要求されるようになった今、パソコンも劇的に進化してくれた。そういう意味でも、自分が今CADでエアロを描いているのは“運命”やと思ってるんです。

 

 

というのも、さっき話したインディアナポリスのカーイベントは、もともと行く予定やなかったんです。ウレタン吹き付けの機材を買いに行く予定やったんですが、ちょうどハヤシレーシングの社長から「一緒にアメリカに行こう」と誘われて、「その時期ちょうど自分も行ってますわ」と答えて別々で行ったのに、たまたまインディアナポリスで社長と同じホテルやったんですよ。それで、イベントに連れて行ってもらうことになるんですが、そんな偶然ってあります?

 

ロケットバニーやパンデムの製品はもちろん、他社エアロの設計からマスター製作も手掛けるTRA京都。その開発は、実車データを3DスキャナーでPCに読み取り、3DCGでスタイリングを創造するところから始まる。そして、完成したデータをマシニングセンタにインプットすると、樹脂の固まりからエアロの原型が削り出されるのだ。

 

マシニングセンタを導入したはいいけど、まずは動かすのが大変やった。制御システムを入れ替えるというか、パソコンを繋ぐDNC運転という観念がなかった。最先端の金型屋くらいやないと必要性がなかったですからね。そのシステムを自分で作った20年前から、基本的にそのままのセッティングで今も運用しています。

 

その頃は「10年これで飯が食えたらいいかな」なんて思っていましたし、当初は「日の丸つけてアメリカのショーとかイベントに行きたいな」くらいやったけど、依頼されてSEMAに出るようになるなんて思ってもみなかった。自分のデザインが認められるのは嬉しいですね。

 

 

よく「オリジナルデザインのクルマを作らないんですか?」って聞かれるんですけど、まったく興味ないです。面白いですかね? 僕はやっぱりクルマは改造するのが楽しいんですわ。

(PHOTO:Hirotaka MINAI)

 

●取材協力:TRA京都 TEL:0774-43-3242

 

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