トヨタ86にGT-RのRB26ユニットとフルタイム4WDを移植した衝撃の問題作!

公開日 : 2019/03/02 11:00 最終更新日 : 2019/03/02 11:00


28歳の若手チューナーが作り上げた直6ターボ+4WD仕様のFR-S

 

アメリカにおけるRB26の希少さも手伝い国内最大級のスバル車イベントも席巻!

 

トヨタ86にGT-RのRB26ユニットとフルタイム4WDを移植した衝撃の問題作!

 

百万の言葉を費やすよりも、まずは写真を見てもらえば、それだけでこのクルマのユニークさが伝わるだろう。サイオンFR-Sのエンジンベイに収まるのは、スバルとトヨタのコラボで生まれた新世代ボクサーエンジンではなく、日産が誇る名機、RB26DETTだ。

 

 

今回の主人公は、ニュージャージー州ウォリントンにあるプライム・モータリングの代表、ディミトリ・ザントス。当初FA20のファインチューンで早々に420psを達成したディミトリは、そのまま700psオーバーも視野に入れたそうだが、500psから先は不確実性が増すため、2014年10月頃からエンジンスワップを構想。当初は2JZで1000psオーバーを目指す計画で、2JZ本体と各種パーツも購入してあったらしい。

 

だが、あるときディミトリの盟友であり、ビジネスパートナーでもあるジュニオール・バリオスが、ある提言を行ったことで、プロジェクトは急転直下の展開を見せることとなる。

 

それはガレージにFR-Sと隣り合わせて置いてあった彼のBCNR33スカイラインGT-Rをドナーとして提供し、RB26DETTおよびGT-Rのフルタイム4WDシステム、いわゆるアテーサE-TSを含むドライブトレインごとそっくり移植してやろうというアイデアだった。

 

 

ディミトリも最初はバカげた話だと思ったそうだが、試しにエンジンを仮置きしてみたところ、想像以上にフィット…。だったらもう先に進むほか選択肢はない。輸入規制によりスカイラインGT-R自体が希少な存在であったアメリカにおいて、大きなインパクトを起こせるという予感も、その時すでに感じていたのではないだろうか。

 

まず、エンジンとドライブトレインのマウントに関しては、プライム・モータリングのファブリケーターであるラフィが奮闘。最初のリフトアップの段階から意外に必要最小限の作業で搭載できそうな感触は得ていたそうだが、最も難物だったのはフロント側にトランスファーを収めるスペースを確保することだった。

 

 

一方、RB26本体はFR-Sにスワップする前からある程度手が加えられており、すでに900psオーバーを実現していた。ディミトリはそれを1000psオーバーまで引き上げるつもりでいるが、取材時点ではクーリングの煮詰めや最終的なエンジンチューニングに着手できず、パワーの測定はまだ行われていない。ただし、ハルテック製ECUやワイヤリングスペシャリティーズ製の専用ハーネス、ウィルウッド製ペダルアッセンブリーなどを採用し、すでに実走可能な状態になっていることは言うまでもない。

 

 

製作は当初のスケジュールよりは大幅に遅れてしまったものの、しっかりと形になったディミトリのFR-S。2016年6月にコネチカット州のスタッフォード・モーター・スピードウェイで開催されたスバル車の一大イベント“WICKED BIG MEET”で念願のお披露目を迎えた。

 

それ以来、多くのメディアで注目を浴び、人生が大きく変わりつつあることを実感しているというディミトリ。彼が経営するショップには数多くのカスタマーが訪れ、また、完成を待つ別のプロジェクトカーも多数脚光を浴びる瞬間を待ちわびている。イースト・コーストの雄、プライム・モータリングの動向には当分目が離せそうにない。

 

Photo:Akio HIRANO  Text:Hideo KOBAYASHI

 

驚くほど自然な形でインストールされているRB26。シングル化されたタービンは地元アメリカのForced Performance製を採用。当初はもっと大径のものを使用する予定だったが、HKS製のエキマニとのレイアウトを考慮して、現在のサイズに落ち着いた。カスタムのダウンパイプを手がけた16w Fabworksには、ビレットのインマニ、インタークーラー、フューエルレール、キャッチタンクの製作も依頼。ビレットならではの輝きとセラミックコートが施されたヘッドカバーが織りなすコントラストは、いかにもアメリカっぽいクラフトワークを感じさせる美しさだ。

 

ドライブトレインを搭載するためのファブリケーションが実施された下まわり。フロント側はトランスファーを収めるため、フロア中央右側を大きくカットした後に溶接で埋めてスペースを確保した。純正のフロントサブフレームにも逃げを作る加工を施してある。

 

リヤ側はカスタムメイドのアダプターを介してリヤデフ後端と純正リヤサブフレームを結合。プロペラシャフトと前後のドライブシャフトは、寸法を合わせたワンオフを採用している。トランスファー内の多板クラッチに油圧を与えるシステムはそのまま活用し、ハイキャスはキャンセルした。

 

タイヤ・ホイールはエンケイのRS05RRとTOYOプロクセスR888の組み合わせ。当初はBelakの15インチホイールにミッキートンプソンのETストリートラジアルを履かせるというドラッグ仕様を構想していたが、ストリートオンリーでの使用へと路線変更した。

 

ロケットバニーのワイドフェンダーを装着し、エクステリアカラーにはFJクルーザーのブルーを選択。前後ライトはそれぞれWinjetとTom’sのアイテムに交換されている。ディミトリは「コスメティックな部分に関してはまだ未完成」とのことなので、今後もなんらかの手が加えられていくことだろう。

 

インテリアで目を引くのは、見るからにレーシーなWilwood製のペダルアッセンブリー。スパルコのステアリングホイール、Racesengのシフトノブ、ブリッドのカーボン製バケットシートなども備わる。メーターがS2000純正のデジタル式に交換されているところがおもしろい。

 

わずか28歳(2016年当時)の若さでプライム・モータリングを引っ張るディミトリ・ザントス。2010年に開店したショップは当初VWやアウディをメインに扱っていたが、3年ほど前から積極的にJDMを手掛けるようになった。東海岸で人気の高いスバル車のほか、ランエボ、GT-R、スープラなどのチューニングを得意とする。

 

Special Thank You To the People Who helped the most with the car:

The Team at Prime Motoring especially Rafy and David for the countless hours and dedication to the car. Junior for giving us the idea and supplying the donor car as well as tuning. Anthony at 16w Fabworks for taking on the project and making it stand out above the rest. Rob at KB Motorsports for the beautiful powdercoating work. Frank at Southbay Fuel Injectors for always helping out with quality products. My wife Lynn for sacrificing her time and material things to see the completion of this project and supporting it along the way.