オーバー1000馬力のEGシビックは女性ドライバーが駆るガチのドラッグ仕様!

公開日 : 2019/02/24 06:30 最終更新日 : 2019/02/24 06:30

K24エンジンベースで1000psを達成する技術力に乾杯!

 

羊の皮を被った狼も逃げ出す“赤ずきんちゃん”のポテンシャル

 

単純明快で、勝ち負けがすぐにわかるドラッグレースは、もともとアメリカ人の気質に合ったモータースポーツだ。だが、イベントごとに煩雑で曖昧なクラス分けやローカルルールがはびこり、ドリフトなどの新興勢力が登場したこともあって、やや下火になっていたことは否めない。それが最近になって再び脚光を浴び始めている理由は、他の競技よりも「アフォーダブル(手頃な価格で手に入る)」であると再認識されたからだ。

 

 

今回紹介するスポーツカーモーションのEGシビックは、「SFWD(スポーツ・フロント・ホイール・ドライブ)」と呼ばれるカテゴリーに収まるドラッグマシン。

 

SFWDは文字通り、前輪駆動車で競われるクラスだが、事実上は歴代のシビックとインテグラのみが参加するホンダ・オンリーのクラスと言っても過言ではない。それらホンダ車はアメリカでも車体が豊富に存在し、アフターパーツも数多く用意されていることから、チューニング自由度が高く、コストパフォーマンスに優れるからだ。

 

 

この1992年式シビックは、まず各種強化パーツを組み込んだK24型エンジンをスワップ。ギャレット製GTX4294Rターボで武装され、最高出力は1000psオーバーというから驚くほかない。

 

動力系もツインディスククラッチやドグミッション、特注のドライブシャフトなどで大幅に強化。一方で、車重は約1020kgに抑えられ、テスト走行における非公式なものとはいえ、1/4マイルで8.80秒、最高速164mph(約263.9km/h)という途方もないタイムとスピードをマークしている。SFWDにおける8秒台は全米でもトップクラスのタイムであるため、ぜひ公式記録の樹立を期待したいところだ。

 

 

ところで、この赤いシビック。『Little Red Riding Hood』というショーネームが与えられているのだが、実はこれ、童話『赤ずきん』の原題。1000psを超えるモンスターに“赤ずきんちゃん”とは恐れ入るが、実はドライバーが女性だからこそのネーミングなのである。しかも、その女性ドライバー、生後8ヵ月の赤ちゃんのママだとか!

 

 

子供の頃からオトコ勝りのオテンバとして育ったモーガン・ジェイドは、免許を取得して最初にCR-Xを購入して以来のホンダフリーク。アメリカでも女性ドラッグレーサーは希有な存在だそうで、彼女のライフスタイルは注目に値する。

 

ただ、現在レースは育休中(2016年の取材時)。取材時に本人に会うことはできなかったが、今後ベイビーの成長を見守りながらレースへの復帰を目指す予定とのことだ。このEGシビックは、そんな奮闘するママさんレーサーの頑張りにも期待したくなる1台だった。

 

PHOTO:Akio HIRANO  TEXT:Takayoshi SUZUKI

 

エンジンはアコードやオデッセイに搭載されるK24型に換装。ゴールデン・イーグル製のブロックをベースに、JEピストンの強化ピストンやマンレーのコンロッド、スーパーテック製強化バルブ、K型エンジンに最適化した特注カムなどが投入される。知名度が高いわけではない町工場的な中小メーカーが、競技用パーツを広く提供していることが、アメリカのモータービジネスの裾野の広さを物語る。

 

一方で、タービンを提供しているのは世界最大のタービンメーカーであるハネウェル傘下のギャレット。950psを見込めるGTX4294Rを備える。

 

リムはSFWDで定番な、エクソスピードの鍛造8スターホイールを装着。フロントが13インチ、リヤが15インチとなっている。タイヤはフロントが極太、リヤが極細という、SFWDならではのサイズ設定。1000psのパワーをトラクションに変換するフロントにはドラッグ専用のスリックタイヤが組み合わされる。ナットは日本のCRUIZE製クロモリレーシングナットが装着されていた。

 

サス剛性を上げるトラクションバーやキャンバー調整用のロワアームなどを使用して下回りも強化。

 

外板の一部にカーボン製を使って軽量化。当たり前だが、車体を覆うビニールラップの完成度は、プライベーターと一線を画す仕上がりだ。スポーツカーモーションのモットーは、シンプルでファンクショナルであること。もとのクルマが何であるか分かるようにスタイリングを保ちながら、スポンサーのために「いかに目立つか」を追求している。赤やオレンジなどの原色を好んで使うのもそのためだ。

 

ダッシュボードまわりを除いて、内装のほとんどを撤去して軽量化。ドライバーズシートも軽量なスパルココルサを採用する。ワールドレーシング製のクロモリロールケージで剛性をアップし、安全性も確保。

 

Kチューンド製のシフターとゴッドスピード製ハンドブレーキを装備するところがドラッグレーサーならではだ。シフターは純正のHパターンのまま取り付けが可能で、ミスシフトを防ぐ機構も備えた優れもの。ドライバーのモーガンがこれらシフターやハンドブレーキを駆使する時が来るのが待ち遠しい。

 

スポーツカーモーション代表のロイ・サン氏は、生まれついてのカーガイであることを自負。高校生の頃にホットハッチブームの洗礼を受け、自身のショップを構えて12年になる現在に至るまで、ホンダ一筋を貫いている。本文でも触れたとおり、ホンダ車はアフォーダブルにチューニングを楽しめる環境が整っていることもあり、面倒見のいいロイさんを慕って、同店には多くのユーザーが集まってくる。