AE86はなぜドライバーを育てるクルマと呼ばれるのか? 谷口信輝によるハチロク試乗を通してその意味を探る! | web option(ウェブ オプション)

AE86はなぜドライバーを育てるクルマと呼ばれるのか? 谷口信輝によるハチロク試乗を通してその意味を探る!

テクノプロスピリッツ作のAE86レビンをNOB谷口が緊急試乗!

 

アナログの極みがもたらすドライバーとの対話性

 

小振りなボディにFR駆動というパッケージを採用するAE86は、長年ドライバーを育てる手頃なベース車として親しまれてきた。「頭文字D」などの影響もあり、近年では中古車相場が高騰してしまったが、それでもハチロクを求める人は後を絶たない。

 

 

「FRで軽い、そして安いと3拍子揃っていたのがハチロク。変な電子制御がいっさい付いてないから運転スキルを上げるのにピッタリだし、構造がシンプルだから自分でイジれるのも魅力かな。最近は中古相場の高騰もあって、ハイチューンより長くシッカリと乗りたいというユーザーが増えてきた印象かな。じつはオレも、レース用やストリート用などかれこれ4台くらい持っているよ。アクセルを全開にできる高揚感とか、このクルマじゃないと味わえない部分も多いからね」とは、AE86チューンにかけては無類の強さを誇るテクノプロスピリッツの熊倉さん。

 

 

そんなテクノプロスピリッツが手掛けたAE86は、学生の頃から20年以上AE86に乗り続けているオーナーが大切にしている愛情が詰まった1台。エンジンは1.6Lのままハイカム&ハイコンプ化した4連スロットル仕様となる。パワーウインドウやオートエアコンなどの快適装備もフル搭載で、完全なストリートスペックだということがクルマを通してわかる。

 

 

「4.5A-Gとか5A-Gにする手もあるけど、いわゆるカムに乗るという感覚が一番ハッキリと味わえるのがこの仕様。確かに排気量アップをすればトルクは出るけど、ドラマチックな吹け上がりはこちらが一枚上手だよね」。最高出力は180psほどとのこと。

 

今回はそんな至宝のチューンドハチロクに、生粋の走り屋にしてレーシングドライバーであるNOB谷口こと谷口信輝が試乗! 10代の頃、地元である広島の峠で無敵のハチロク使いと言われていた男が、改めてかつての相棒に乗って感じたこととは!? 試乗インプレッションをお届けしよう!

 

 

NOB谷口インプレッション!

 

 

「19歳から5年くらいハチロクに乗っていたんだよね。60万円のボロにデフとか入れて70万円だったかな。ポテンシャルは低かったけど、すごく愛着があった。それから、かれこれ4台も乗り継いだよ。パワーはないし足回りもチープだけど、ハチロクの良さは、それらのバランスがよくて乗っていて楽しいこと。ドライバーを鍛えてくれるクルマなんだよね。

 

ハチロクは腕がないと速く走らせられないんだよ。ドリフトするにも、ちゃんとクルマの挙動を理解していないとダメだし。そういったところがドライバーを育てるって言うのかな。今のクルマって電子制御が凄いから“操る楽しさ”って感じにくいんだけど、ハチロクはアナログの極みだからさ。だからこそドライバーは“どうやったら速く走らせられるか?”を考えるようになる。その作業って非常に重要なんだよ。オレのドラテクの基礎を作ったのは、間違いなくハチロクだと思うし。

 

 

このテクノプロスピリッツのマシンからも、そんなハチロクの良さがビシバシ伝わってきた。トルクもあるし、吸気サウンドもやる気にさせてくれる! カムが効いていると思うんだけど、高回転までよく回って気持ちよく走れるんだ。かなりツウな仕様だと思うよ。オレも1台手に入れられるなら、こんなハチロクが欲しいなぁ。

 

コンディションの良さにも驚いた。後期のAPEX仕様で、しかもパワステやパワーウインドウ、オートエアコンまで付いている。内装やリヤシートまで! 状態がいい個体が少なくなってきたから長生きして欲しいよね」

 

テクノプロスピリッツAE86スペック

■エンジン:4A-GZ改換装(180ps)/戸田レーシング 鍛造ピストン、288度カム/AE101用4連スロットル流用/テクノプロスピリッツ EXマニ、マフラー、フリーダム(現車セッティング)/永井電子 プラグコード ■ドライブトレイン:機械式LSD ■サスペンション:テクノプロスピリッツ 車高調 ■ホイール:ボルクレーシングTE37V(8J×15) ■タイヤ:ディレッツァZIIスタースペック(205/50R15) ■エクステリア:純正リップスポイラー、リヤウイング 他

 

レビン後期ベースのオーナー車両で外装はノーマル。街乗りからサーキットまで万能にこなし、オーナードライブで筑波サーキットのベストは1分7秒台だ。帰省のために東京から福岡まで何度も自走しているというが、高速の燃費は15km/Lと意外によく走るという!

 

肉厚で強度的にも有利な4AG-Zの腰下にハイカム&ハイコンプ仕様のヘッドを組み合わせたエンジンは約180psを発揮する。エキマニは4-1集合タイプで、サーキット走行に備えオイルキャッチタンクも設置されている。スロットルはAE101用の4連を流用し、燃調コントロールはフリーダム。今の技術を使えばハイカム付きの仕様でエアコンを入れても普通にアイドリングさせることが可能なのだ。

 

1万rpmスケールのタコメーターが目を引くコクピット周り。レカロのフルバケやナルディのステアリングもセットされた。内装やリヤシート付きなのはもちろん、パワステ&パワーウインドウ付きなのもポイント。

 

足回りはテクノスピリッツオリジナル車高調で、ホイールは旧車に合わせてデザインされたTE37Vをセット。タイヤはディレッツァZⅡスタースペックを装着する。近頃のラジアルタイヤはグリップ力が高く、筑波を走っても楽しいそうだ。

 

「最近は快適に長く乗りたいというハチロク乗りが増えていますね」と熊倉さん。このクルマも純正部品が出るうちに快適に走れるようにしたいというオーナーの意向に沿って、わざわざ新型のエアコン(12→134aガス)を付け直している。