【1992 HONDA CIVIC】EGシビックベースで1/4マイルを8.9秒で走破するジャイアントキリング! | web option(ウェブ オプション)

【1992 HONDA CIVIC】EGシビックベースで1/4マイルを8.9秒で走破するジャイアントキリング!

FF車でドラッグレースをやる。車体機構や物理法則を考えればけして得策ではないこのやり方を、アメリカ人達は時間を掛け、驚きのレベルにまで熟成させた。ホットロッドの血を受け継いだ、異次元のシビックをご紹介しよう。


B18Cから900psを絞り出す、進化しすぎたFFドラッグマシン!

 

1/4マイルの走行タイム8.9秒! 終速252キロを誇る!

 

金は無いけど速いクルマには乗りたい。そんな若者にとって、シビックは今も昔も最高の1台だ。日本では速くて軽いFF車として、主にサーキットで活躍したが、アメリカの若者達はなんとシビックをドラッグストリップに持ち込んだ。90年代半ば、アメリカではいわゆる“スポーツコンパクト”ブームが起こり、ドラッグレースの世界でもにわかに日本車が台頭してきていたが、そこに“ジャイアントキラー”として送りこまれたのだ。

 

 

ドラッグレースを発祥とするホットロッドの世界は、大排気量のV8エンジンを積むアメリカ車が主役。しかし、そんな力の象徴が好まれる一方で、アメリカ人は小粒なヤツが“ジャイアントキリング”することも大好きだったりする。

 

だから、アメリカのシビックは、キラーたるべくこの20年で異常な進化を遂げてきた。今回紹介するドラッグ・シビックは、そんなアメリカのFFドラッグシーンの最前線を知れる1台と言えるだろう。

 

エリックス・レーシングが製作したこのシビックは、1/4マイルを8.9秒で走る。FFマシンながらこの驚異のタイムを記録できるのは、何はなくとも異常なエンジンパワーに依るところが大きい。

 

 

ベースエンジンは我々にも馴染み深いB18Cだが、過激なターボチューンを施し、その最大パワーはブースト圧2.95キロで900psを超える。

 

 

ブロックはスリーブを入れているがノーマルがベースで、その他のエンジンパーツは全てレース用スペシャル。それでもB18Cで900psというのは異常な数値だが、ドラッグレースを50回走っても壊れることはなく、とにかく耐久性も高い。しかも、現在のFFドラッグの世界で900psというスペックは控えめらしく、今後このシビックは1000psへとモディファイされる。

 

 

この大パワーを受け止める駆動系だが、そこはFFドラッグ先進国。ドライブシャフトを含めた一式は1000ps対応を保証するキットが市販されており、ミッションもFFハイパワー車に対応したOEM品のケースに4速ドグミッションが組み込まれている。

 

タイヤチョイスもFFドラッグマシンならではで、フロントにドラッグスリック、リヤに走行抵抗の少ないフロントランナーを装着。蹴り足よりも掻き手が強化されたこの独特のフォルムは、FFドラッガーならではの異形のカッコよさだ。

 

 

ドラッグレースの世界でタイムを突き詰めるなら、やはりFRマシンの方がタイム的には優れている。しかし、不利と言われたFFマシンも今や8秒台が当たり前になってきた。不可能を可能にするチューニングの力が、FFドラッグの世界をさらに進化させていくのは間違いない。

 

PHOTO:Akio HIRANO  TEXT:Takayoshi SUZUKI

 

 

エンジンは北米仕様のアキュラ・インテグラGS-R(DC2)が積むB18C1をベースに、排気量を2L化。燃料はVPのレースガスQ16を使用し、ダイノパック実測で900ps超えを記録。タービンから直接排気するレイアウトはドラッグレーサーならではの過激さで、ボンネットには穴も空けられている。

 

レースカーらしく必要な物以外何も付いていないインテリア。ダッシュはFRP製のワンピース物に交換され、内装も全て剥がされ軽量化が図られている。

 

ちなみに、ミッションはHパターンだが、これはこのシビックが参戦するクラスのレギュレーションに合わせたもの。Hパターンで8.9秒、なのである。

 

エアブラシで入れられたスカル&フレイムスのグラフィックが「いかにも」な雰囲気。ボンネットの穴はタービンからの排気口で、左ヘッドライトはタービンへのインテークとなる。フロントにドラッグスリックを飲み込んだ特異なフォルムが特徴的で、リヤに「ET/FRONT」という本来なら前輪用のタイヤを履いているのがFFマシンならでは。レース時にはリヤナンバーの部分に、減速用のドラッグシュートが付けられる。

 

 

写真はエリックス・レーシングの代表、エリック・アギラー。日本車チューニングを得意としており、FFドラッグの世界ではかなりの有名人だ。このシビックのオーナーはパナマ在住で、エリックさんの名声を聞きつけマシンの製作を依頼。エリックス・レーシングにはハワイや中南米など、世界各地からマシンが持ち込まれるという。

 

スペック

■エンジン:B18C型改/ギャレット GT40タービン/EDELBROCK VICTOR Xインマニ/SKUNK2 レースカム/ARIAS ピストン/CROWER 89mm鍛造クランク、コンロッド/ALANIZ RACING HEAD スクウェアポートヘッド/ARP ヘッドボルト/COMETIC ガスケット/SUPER TECH バルブスプリング&リテーナー/FULLRACE エキマニ、インタークーラー/HONDATA S300エンジンマネジメントシステム

■ドライブトレイン:G-FORCE 4速ドグミッション/DRIVESHAFT SHOP 強化アクスル&ハブ/WAVETRAC デフ

■フットワーク:BLOX SPEC Rドラッグレースサスペンション

■ホイール:WELD RACING MAGNUM 15インチ

■タイヤ:MICKEY THOMPSON ・ET Drag