【最高速今昔物語 -東名レースから湾岸へ-】魂の回顧録 Special Discussion【雨宮勇美(RE雨宮)、大川光一(元トラスト)、吉田栄一(ミッドナイト会長)、稲田大二郎(暴走機関車)】

2018/11/21 19:50

2009年3月6日。日本最大級の繁華街である銀座のクラブに、日本における最高速の歴史を築いた張本人たちが、30年もの時空を超えてふたたび相見えた。話がはずむ。全員の脳裏に当時の情景が蘇る。さぁ、はじめよう。だれもが真剣で、だれもが命がけで、だれもがスピードに取り憑かれていたあのころの、血潮たぎる魂たちの回顧録を。


登場人物

 

大川光一

トランザムを駆る“カンブ大川”といえば、当時の東名レーサーたちのあいだでは超ビッグネームだった。トラストは2008年末に退職している。

 

雨宮勇美

チューンドロータリーを従え、カンブ大川とともに狂走族のカリスマとして青山、東名、首都高、湾岸を第一線で駆け抜けた男。OPTION誌とは創刊当時からの付きあいだ。

 

吉田栄一

湾岸最高速を牽引しつづける伝説的な走り屋チーム“ミッドナイト”の会長。谷田部全盛期には、Daiとともに911ターボの可能性を追いつづけ、数々の名シーンを演出してくれた。なお、ポルシェ本社によるワークスチューニングが敢行されたカレの愛機が、人気マンガ“湾岸ミッドナイト”に登場するブラックバードのモチーフ…というのは有名な話である。

 

稲田大二郎

チューニング文化の振興に人生のすべてを捧げる業界の“生き字引”にして、東名レースに端を発する最高速の歴史を、雑誌編集者という立場から客観的に見守りつづけてきた人物。あだ名は“Dai”。また、80年代には谷田部トライアルのエースアタッカーとしても活躍した。


公道が戦場だった時代

 

稲田:こんなメンツで集まったのなんて、谷田部以来じゃないか?

 

吉田:そうですね〜。みなさんの顔を見てると、当時の熱い気持ちがフツフツと蘇ってきますよ。

 

雨宮:吉田くんとは久しぶりだねぇ。カンブ(大川さんのアダ名)やDaiちゃんとは、ちょくちょく会ってるけど!

 

大川:そうだね。ボクも、吉田くんと会うのは久しぶり。

 

吉田:ご無沙汰してすみません(笑)。

 

雨宮:しっかし、みんなジジィになったね〜。オレとDaiちゃんなんて、もう還暦すぎてるし!ヨボヨボだよ!!

 

一同:(爆笑)

 

稲田:で、今日集まってもらったのは他でもない、70年代後半からはじまった最高速の黄金時代をみんなで振り返るためだよ。

 

吉田:てことは、東名レースですか。

 

雨宮:なつかしい〜。オレがチーム作ってたころの話だかんね。カンブとも毎週のように走りに行ってたっけ。

 

吉田:なんのチームですか?

 

大川:“影”って名前の超有名な狂走族(笑)。

 

稲田:あのチームは“狂”じゃなくて“暴”だったよ。

 

雨宮:勘弁してよDaiちゃん(笑)。下の連中んことは知らないけど、オレはだれよりも速く走りたかっただけなんだから!とりあえず週末に、亀戸から錦糸町、東陽町、銀座とまわって青山に出るルートで、カッ飛んでたっけな〜。検問突破もよくしたし!

 

稲田:そういえば、雨さんと大川さんの出会いっていつなの?

 

大川:雨さんとはじめて会ったのは、ボクが22歳くらいのとき。深川内燃機(日本におけるチューニングショップの始祖)というお店に務めてたころの話ね。で、そこに若かりし雨さんが、お客としてやってきたんだ。

 

雨宮:オレが26歳くらいで、LBセリカ乗ってたときっしょ。

 

大川:うん。立川のゼロヨンで勝ちたいから、2T-Gのバルブスプリングを強化してくれってね。

 

雨宮:ところがどっこい、そのあとゼロヨンにいったら負けちゃってサ! ソッコーで店に怒鳴りこんで「ふざけんじゃねぇ! オマエのせいで負けちまったじゃね〜かぁ!!」って、クレームいったんだ(笑)。

 

大川:熱い人だな〜って思ったよ。それからかな、付きあうようになったのは。で、しばらくいっしょに立川や新木場のゼロヨンで遊んでたんだけど、1975年くらいに警察の取り締まりが厳しくなっちゃって……。そんなときに、だれかが言い出したんだ。「東名でシロクロつけよう!」ってさ。それが、東名レースのはじまり。(次ページに続く)

 

 

 70年代前半にヒートアップした公道ゼロヨン。しかしその走り屋天国が長くつづくわけもなく、警察によって有名スポットの幕がつぎつぎに降ろされてしまう。東名レースはそれに代わる第2の天国だった。

 

東名レースは海老名SAから瀬田・東京料金所までの30km区間で行われていた。

 

海老名SAに集結する東名レーサーたち。写真はトップスのトヨさん(高橋豊蔵さん)率いるパンテーラ軍団。

 

 


あの頃キミは若かった

 

思わず“ザ・スパイダース”による往年の名曲を口ずさんでしまいたくなるが、ここでは最高速四天王の過去を公開。本人たちは間違いなく赤面するだろうが、当時の彼らを知る読者にとっては、心の奥底に眠っていた熱き思い出が写真を通して蘇るハズだ。

 

雨さんが33歳、Daiが32歳のころの貴重なツーショット。ふたりとも貫禄バリバリ。

 

1981年7月号「必殺改造人シリーズ」に登場したときのカンブ大川さん。マジで若い!

 

1993年1月号「熱血走り屋マシンspl」でのミッドナイト吉田さん。あどけなさが残ってる。