【SUPER TUNED MEMORIES】対アメリカ用の切り札として生まれたZ16A【Pit Road M 黄金(隼) GTO金蔵3号】

公開日 : 2018/11/12 12:33 最終更新日 : 2018/11/12 12:33

販売面ではイマイチだったものの、国産離れしたスタイルとそれに負けない走りで、いまだコアなファンを虜にしつづけているミツビシGTO。その魅力に取り憑かれたチューナー森下さんが、長い年月をかけ産み出したGTO改ドラッグモンスター。その全貌に迫る。(2006年11月)


920馬力の咆哮

 

 

3.1L+T88-38GKがもたらす戦闘能力

 

アメリカの知人から森下さんのもとへとビデオレターが送られてきたのは、いまから半年前のこと。そこに収められていたのは、とある北米のドラッグコースで0-400mを9秒台で走りきるチューンドGTOの姿だった。

 

「衝撃を受けましたよ。ストックボディのチューンドGTOで10秒のカベを超えてしまったんですから。だってウチのベストタイムは10秒7ですもん。なんども巻き戻して見直しましたよ。スタートからゴールまでをストップウォッチで測ったりもしました」。

 

軽量化されているもののチューニング内容はストリートの延長線上、しかも装着されているパーツの大半はピットロードM製。そんなマシンがアッサリと10秒のカベを超えてみせた。森田さんは大きなショックを受けたのと同時に、ひとりのチューナーとして心に火をつけたことは言うまでもない。

 

ゼロヨン9秒台を目指した森田さんの新たな挑戦がはじまったのは、それから間もなくのこと。

 

 

かつてセントラルサーキットで10秒7を記録したときのエンジン、鍛造ピストンを組んだ6G72に、TD06L2タービンを2機がけした600ps仕様をアッサリ捨て、イチからエンジン製作に取り組んだのだ。

 

まず腰下から。ハイブースト前提に、1mmオーバーサイズとなるオリジナルの92φ鍛造ピストンとH断面コンロッドを組み3100ccまでスケールアップ。クランクに関しては「無理に高回転化しなければ純正でもイケる」という森田さんの判断により、バランス取りした純正品を使用。

 

つぎにヘッドまわり。オリジナル強化バルブスプリングを組んだうえIN&EXともに272度のハイカムをあわせているのだが、「6G72はもともと高回転型ではないトルク型のエンジンなんです。無理して8500rpm以上まわそうとするとロッカーアームが飛ぶし、コンロッドメタルも根を上げる」とのことから、無理なレブアップは試みず常用8000rpmに設定。そのほか、燃焼室形状変更をはじめ吸排気ポート加工など徹底的に手を入れ、中低速トルク型の強靭なエンジンを作り上げた。

 

 

そしてタービン。高回転域でのパンチ力とブーストの安定性を求めた結果、ツイン仕様からビッグシングル仕様へとシフトさせることを決意。そこでインマニを逆転させてエンジンルームにタービンスペースを確保したうえ、複雑なエキマニを介してトラスト最大級の風量を誇るT88-38GKをドッキング。EXハウジングには、ブーストの立ち上がりを優先して18㎠を採用している。

 

そんな珠玉のパッケージをVプロでDジェトロ化し綿密にマネージメントを行うことで、最大出力は7500rpm時になんと920ps。トルクに至っては93kgmを発生するモンスターユニットが完成した。

 

 

「意地でも9秒台に入れますよ。アメリカに負けたままでは悔しいですからね」。

 

アタックは今冬から来春を予定している。GTOチューン第一人者としての意地とプライドをかけた戦いがまもなくはじまるのだ。

 

取材協力:ピットロードMマシンファクトリー

PHOTO:Masahisa Fujita

 

スペック

エンジン:6G72改3.1L仕様 スペシャルポート加工&燃焼室加工 M-SPL-MFR92φ鍛造ピストン&H断面コンロッド&1.5mmヘッドガスケット&インマニ トラストT88-38GKタービン&タイプCウエストゲート M-SPL-MFRカム(IN&EX272度)&強化バルブスプリング&オリジナルサージタンク&90φスロットル 1000ccインジェクター×6 HKS F-CON Vプロ トラスト プロフェック M-SPL3層インタークーラー&3層ラジエター&16段オイルクーラー M-SPLフロントパイプ&チタン戦闘機マフラー(90φ→100φ)

ドライブトレイン:M-SPL R3Cトリプルクラッチ&フライホイール M-SPLフロントLSD カーボン1ピースプロペラシャフト他

フットワーク:M-SPL車高調(F16kg R8kg) M-SPLキャンバーアーム M-SPL-MFRブレーキキット&ホース&パッド

タイヤ:GYイーグル(FR265/35-18)

ホイール:レイズグラムライツ(FR9.5J×18)

インテリア:ヴェイルサイドステアリング レカロSP-G本革仕様×2 トラスト追加メーター オートメーター

エクステリア:M-SPLファルコンフルエアロ M-SPLカーボンドア&リヤゲート&ボンネット LEDテール アクリルウインドウ

 

インタークーラーはオリジナルの3層ツインタイプ。パイピングは100φだ。そのほか3層アルミラジエターや16段オイルクーラー、キャビテーション防止のウォーターポンププーリーなども装着され、大馬力を安定して出力させるように冷却系は徹底強化されている。

 

 

トラクション重視のセッティングが施されたダンパーはアラゴスタベースのオリジナルドラッグモデル。バネはメルヴェでレートはF16kg、R8kgをセットしている。また、リヤにはオリジナルのキャンバーアームが取り付けられ、サスセッティングの幅を拡大しているのもポイントだ。

 

重量級ボディを受け止めるブレーキ系は大幅に強化され、フロント&リヤともにMFRグレッディーブレーキキットを装着している。詳細は、フロントが355mmローターに6ポットキャリパー、リヤは330mmローターに4ポットキャリパーという組み合わせだ。パッドもオリジナルのメタルとなる。

 

シートは左右ともレカロSP-Gの本革仕様に交換。ダッシュボード中央部にはトラストのブースト/水温/油温/油圧/排気温度/燃圧計が整然とならび、その上に東名のA/F計をセット。またダッシュボード右側にはオートメーターが配置されている。

 

 

リヤシートは軽量化のためにはずされているが、それ以外の内装トリムはノーマルのままだ。ロールケージはオリジナルのクロモリ5点式。そのほかのボディ補強としてはフロント&リヤにオリジナルのタワーバーをセットしている程度だ。

 

中期ベースの後期仕様で、エアロはオリジナルの『M-SPLファルコン』キットをフルで武装。ヘッドライトはエアを導入するためのダクトが設けられている。軽量化にも余念がなくウインドウ類はアクリルに交換され、ドア&リヤゲート&ボンネットはカーボン製を使用している。車重は1500kgまでシェイプされている。