【1992 ACURA NSX】530psのツインターボユニットを搭載するカルフォルニア仕様のNA1!

“ホンダ=カスタム”の究極を目指したC30A改ツインターボという選択

 

 

ホンダスポーツの頂点をイジるという歓び

 

アメリカの日本車チューン&カスタムシーンの中心を成すのは、今も昔もホンダ車だ。安くて速いホンダ車に、スピードを求める金のない若者が飛びつくのは日本もアメリカも同じで、特にアメリカのホンダ乗りは日本以上に熱い連中が多い。

 

 

このNSXのオーナー、マイケルさんも熱狂的なホンダ党だ。なにしろその車歴はシビック→インテグラ→S2000とホンダ一色。しかも着実にグレードアップしてきたその流れから、3年前に遂に念願のNSXを手に入れた。アメリカのホンダシーンで見かけるクルマは大半がシビックとインテグラで、そこからS2000にグレードアップできる人間はごく少数。

 

そして、ホンダスポーツの頂点に君臨するNSXを手に入れる事ができるのはほんの一握りにすぎないのは言うまでもない。マイケル自身も「32歳でNSXオーナーになれた事を誇りに思う」と語るが、彼のプライドはNSXを所有することだけではなく、カスタムすることにも込められていた。

 

 

「NSXを実際に買っても、モディファイするのには勇気がいる。でも俺は構わないんだ」。その言葉通り、マイケルはNSXを徹底的にカスタム。外装は様々なメーカーのエアロパーツを組み合わせワイドボディ化し、半艶のレッドでラッピング。NSXのイメージを崩さないレッド×ブラックの2トーンで全体を纏めているが、この艶感やパーツチョイスで自分だけのスタイルを実現している。

 

そして最大の見所となるのがエンジンだ。ツインターボ化した上で、インタークーラーを各バンクに割り当てて装着。しかも車体下部に配置し、アンダーボディの空気の流れを使って冷やすという独自のレイアウトを採用している。これはスペースの問題を解決しつつ見た目的にもアピール度が高く、マイケルによるとこの方法を採用したのは彼が最初だという。

 

 

マイケルのNSXはどちらかというとカーショーでトロフィーを穫ることを目的とした“ショーオフ”仕様だが、このツインターボの作り込みは本気で行われており、その最大パワーは実測値で530psと本物。インテークには混合気の冷却に効果のあるウォーターメタノールのインジェクターも備えており、このNSXが速いマシンなのは間違いない。

 

ちなみにエンジンのヘッドカバーに入れられた“LONG BEACH”とは、彼の地元の地名だ。南カリフォルニア最大の港湾都市として栄えてきた場所だが、一方で昔から荒くれ者が多いのか、治安が良くなくポリスの取り締まりが厳しいエリアとしても知られている。マイケルは「そんなエリアに住んでいても、NSXに乗ってカスタムしてるんだぜ」というプライドを、このヘッドカバーの文字に込めているのだ。

 

Photo:Akio HIRANO TEXT:Takayoshi SUZUKI

 

 

地元をレペゼンしいている気持ちが、ヘッドカバーの“LONG BEACH”の文字に現れているエンジンルーム。決して広くないエンジンルームに巧みにターボエキップメントをレイアウトしているのが分かる。クーラントタンクとオイルキャッチタンクはワンオフ製作。ウォーターメタノールのインジェクターはインマニの途中にセットされている。そして、このNSX最大の特徴は、車体下部にツインでマウントされたインタークーラー。ディフューザー越しに見えるのはビジュアル的なインパクトも大きい。マフラーはこのインタークーラーの間を抜けて通される。

 

各メーカーのNSX用エアロパーツを、独自にブレンドすることで完成したエクステリア。マイケルいわく「スポーツカーは赤」というイメージで、ボディのラッピングはレッドをチョイス。半艶仕上げとすることで、絶妙なイマっぽさもプラスされた。今後はVOLTEXのGTウィングを装着予定で、それがこのNSXに施す「ラストピース」だそうだ。ちなみに、この低車高はエアでもハイドロでもなく車高調によるもの。ホイールはTE37。チャンピオンシップホワイトでペイントしたカスタム品だ。ブレーキはストップテックを選択。JDMパーツに拘らず、USパーツの良い物も巧みにブレンドして作り上げている。

 

インテリアはロールケージが入ってレーシーな雰囲気。バー部分には彼のイニシャルと、彼のルーツであるカンボジア国旗が入れられている。追加メーターはAEMの空燃比計とブースト計をセット。シートはレッドのレカロ、ハーネスはブラックのタカタと、アイテムの色味にも拘っている。チューンドでありながらオーディオに凝るのもアメリカ流で、シート背面には巨大なサブウーファーをセット。トランク内もフルカスタム済みで、レザーを張ってアンプ類をセット。底面にあるアルミ製のタンクは5ガロン入るメタノール用だ。

 

 

3年半前にこのNSXを購入し、今ではアメリカのJDMシーンで知らない者はいないほどの有名な存在となったマイケルとツインターボNSX。“it’s jdm yo!”というカークラブのメンバーで、このNSXはクラブの象徴的存在となっている。日常のアシはアキュラTLと根っからのホンダ党で、もちろん新型NSXにも興味津々らしい。日本にもいつか行きたいそうで、娘さんが日本語を勉強中だそうだ。

 

 

スペック

■エンジン:C30A改/EFREN BUILT カスタムツインターボキット/ギャレットGT2871Rタービン/AEMエンジンマネジメントシステムV1シリーズ2/TIAL38mmウエストゲート/インジェクターダイナミクス1000ccインジェクター/WALBRO燃料ポンプ/エアロモーティブ・燃料レギュレーター/ワンオフ インタークーラー、メタノールタンク

■ドライブトレイン:OS技研 ツインプレートクラッチ

■フットワーク:JRZ RSコイルオーバー/エナジーサスペンション ブッシュセット/NSX-R用シャシーバー、スウェイバー

■ブレーキ:ストップテック ビッグブレーキキット

■ホイール:ボルクレーシングTE37(F9.5J×17+22 R10.5J×18+15)

■タイヤ:プロクセスR888(F235/40-17 R295/30-18)

■エクステリア:TAITEC JGTC2000フロントバンパー、フロントカナード、カーボンリヤディフューザー、VIS NSX-Rタイプカーボンフード/DOWNFORCE NSX-Rタイプリヤスポイラー、サイドスカート、ワイドフロントフェンダー、カーボンサイドディフューザー/ルートKS マドンナスタイルリヤワイドフェンダー/VISION DC レーシングミラー

■インテリア:VISON ステアリング/レカロ・ポールポジション/タカタ 4点式ハーネス/クスコ 4Pロールケージ/DOWNFORCE センターコンソール/無限 シフトノブ、ペダル/NSX-R用シフトブーツ/アルパイン・デッキ/JLオーディオ・アンプ、サブウーファー